秘密保護法、国会改革、コメ生産調整、名護市長選

国会審議も現在のところ平穏に推移し、NSC法案、秘密保護法案、競争力強化法案などの実質的な審議に入ります。我々は「投票率五割、自民党候補の平均得票率四割、よって国民の積極的支持は実際は二割」による政権なのですから、国会運営は丁寧かつ慎重でなければなりません。
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石破茂です。

国会審議も現在のところ平穏に推移し、NSC法案、秘密保護法案、競争力強化法案などの実質的な審議に入ります。我々は「投票率五割、自民党候補の平均得票率四割、よって国民の積極的支持は実際は二割」による政権なのですから、国会運営は丁寧かつ慎重でなければなりません。

国会運営は野党に六割以上配慮しなくてはならない、というのが古くからの教えではありますが、そうといって、あちらの顔を立て、こちらに気を遣い、ああでもない、こうでもないと言って何も決まらない国会など誰も望んでいないのであって、審議を尽くした後に決めるべきは果断に決めていかなくてはなりません。その際に「運営が乱暴だ、与党の横暴だ」と言われることのないように、これはどう見ても与党の方が正しいのだ、と国民に判断して頂けるように、与党側としてはよく心していかなくてはなりません。

秘密保護法の要点は「いかに行政の恣意を防ぐか」に尽きます。

民主主義である以上、時の熱狂などによって、まともではない政府が出来るリスクは常に存在するのであって、「国家のために決して漏らしてはならない情報」ではなく「政権にとって漏らしてはならない情報」が秘密として指定されることが皆無とは言えません。このような事態を防ぐためには、立法、司法、就中立法府の関与が必要なのですが、立法府としての秘密保護の体制が甚だ不十分な現在のままではどうにもなりません。憲法に定められた秘密会の規定を実際に活用すべく、これを整備し、運用を厳密に行わない限り、国会に機密性の高い情報が入ることはありません。

これは立法府の怠慢なのであり、そのことなくしてただ政府を攻撃するのは筋違いというものです。

国会改革も、平成11年に成立した「国会審議活性化法」の趣旨に沿って粛々淡々と進めるべきなのです。国権の最高機関たる国会の改革なくして日本の再生など語る資格はありません。

これは偏に立法府の責任なのであり、これに応じない勢力は国民の批判をもっと浴びるべきなのですが、あまりそれが聞こえてこないのはどうしたわけなのでしょう。

消費税も、原発も、普天間移設も、更に深い議論が必要です。議会が「追認府」に堕さないためにも、自民党として国会改革を強力に主導していかなくてはなりません。

閣僚に在任中、国会質問がなかなか提出されず、挙句の果てに前日の夜遅くになって「政策全般について」などという質問通告が秘書氏から伝えられて閉口したことも、前日夜遅くになって膨大な質問項目が提出されて夜を徹して答弁を事務方が書き、明け方近くに不備な個所の書き直しを命じ、ようやく委員会直前になって答弁書が出来上がったことも多くありました。こんなことに一体何の意味があるのか。まともな質疑になどなるはずがありません。まずこんなことから改善していかなくてはなりません。

コメの生産調整の見直しの議論が再び本格化する見通しとなりました。

麻生内閣の農水大臣在任中にこれを主たるテーマに掲げ、相当に精密なシミュレーションを行い、選択肢を提示するところまでは漕ぎ着けたのですが、自民党からは「農水大臣はすぐに代わるが自民党農林族は永遠だ!」「史上最低の農水大臣は辞任させよ!」などと猛烈な批判が噴出し、その後発足した民主党政権も、全く検討することもなく四年が無為に過ぎてしまいました。

守るべきは「稲作の持続性」なのであって「米価」なのではありません。生産調整によって稲作の持続性が維持されたのならまだしも、農地面積も、生産者も、生産額もそのすべてで下方局面が続いているのは、政策の何処かが間違っていた、或いは時代に適合しなくなっていたと断ぜざるを得ません。

コメ政策の転換も、防衛省改革も、自民党政権下においてかなり作業が進んでいたにもかかわらず、政権交代をいいことに都合の悪いことは一切無かったかの如くに葬り去ろうとした一部の官僚の悪辣さは許し難いことだと思っております。

来年一月の沖縄県名護市の保守系市長候補が何とか決まりそうな状況となってきました。

一地方都市の首長選挙ではありますが、今後の日米関係や政権の帰趨をも決する重大な選挙であると認識しております。基地問題に関する沖縄の民意をいかに政府として受け止めるか、「負担の軽減と抑止力の維持」をお題目のように唱えていても仕方がないのであって、負担と抑止力の具体的な中身を分析し、「本土で負いうる負担は本土で負う、日本で出来ることを米軍にやらせない」との姿勢を明確にしない限り、この二律背反的な目標を実現することは不可能です。

残された時間は僅かなのであり、政権の真価が問われるとの危機感を持って臨んでまいります。

週末は広島市、東広島市、都城市を廻ります。

週末、新幹線や航空機で移動することが多いのですが、切符がとれなかったり、ホテルが一杯だったりすることが時々あり、一部に景気回復の兆しが見られるように思います。

リタイアされたシニア世代の方々が観光に平日をもっと利用して頂くことによって平準化が進むと、観光業をはじめとする地方経済が更に潤うようになると思うのですが、そのためにはどのような工夫が必要なのか、お知恵のある方はご教示くださいませ。

台風が接近中です。お気をつけて週末をお過ごしくださいませ。

(※この記事は2013年10月25日の「石破茂ブログ」より転載しました)