講談社から出版された「原発ホワイトアウト(若杉冽著)」という本が、登場人物は仮名ながら、原子力利権について赤裸々に書いてあると話題になっている。
役所の中ではきっと官僚が書いたに違いないと、犯人探しまで始まっているそうだ。
今回のアメリカ出張で、国務省のエネルギー局やエネルギー省をはじめ、エネルギー関係者に会った。
(「米国出張日程」 http://bit.ly/1eRBQ1W 参照)
「アメリカ政府は日本に対して原発産業を維持するように求めている」と言ったような原発に関する「アメリカ」話が盛んに出回ったことがあったが、「アメリカ政府は、日本がエネルギーの供給源の多様性を維持したほうがよいと思っているが、いずれにせよ日本が決めることだと認識している」というのが事実だ。
反対に、「使用目的のはっきりしないプルトニウムが増えることにアメリカは明確に反対する」。
また、シェールガスについては、「アメリカからの天然ガスの輸出には、輸出ライセンスが必要になる。」「自由貿易協定が結ばれている国に対しては、天然ガスを輸出することがアメリカの国益にかなうというのが前提だ。」
しかし、「TPPが、ガスの輸出に関する自由貿易協定にあたるのかどうかは、最終的な協定をみたうえで判断することになり、今の時点では自由貿易協定に当たると言い切ることはできない。」(国務省)
マンスフィールド財団で開かれたラウンドテーブルなどでは、使用済み核燃料プールの問題が話題になった。
使用済み核燃料プールがいっぱいになりつつあり、また、その脆弱性がはっきりしたにもかかわらず、なぜ、対応がとられないのかという質問が出た。
それに対して、「これまで電力会社は、原子炉立地自治体に対して、使用済み核燃料はプールで冷やされた後、六ヶ所村の再処理工場に搬出されるので、恒常的に敷地内にとどまることはないと説明してきた。
しかし、再処理工場が動かず、再処理工場のプールがいっぱいになってしまった今、原子力発電所のプール内の使用済み核燃料をドライキャスクに入れて原発の敷地内に保管するのが一番現実的だ。
しかし、そのためには立地自治体に、これまでの説明を翻して、使用済み核燃料が原発敷地内に残るという説明をしなければならず、それを電力会社は嫌がっている。」
また、日本のプルトニウムの処理をテーマにした国際的な会議を開催したらどうかという提案も出された。
今後の日米関係のテーマになっていくかもしれない。
(2013年9月18日の「河野太郎公式ブログ ごまめの歯ぎしり」から転載しました)