続 特定秘密保護法

特定秘密保護法について、最近いただくメールの中で、一番多いのが民間人の処罰についてのご心配です。特定秘密保護法では、秘密を漏えいして処罰の対象になるのは、『適性評価を受けて特定秘密を取り扱う公務員』及び『特定秘密の提供を受ける適合事業者の従業員であって、適性評価を受けて特定秘密を取り扱う者』だけ。適性評価を受けてもいない国民が、秘密の漏洩で処罰されることはありません。
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みんなの党の山内康一代議士のブログに、民主党の馬淵澄夫代議士と私と三人で書いた論文について触れられています。

ぜひ、ご一読ください。

特定秘密保護法について、最近いただくメールの中で、一番多いのが民間人の処罰についてのご心配です。

特定秘密保護法では、秘密を漏えいして処罰の対象になるのは、

『適性評価を受けて特定秘密を取り扱う公務員』

及び

『特定秘密の提供を受ける適合事業者の従業員であって、適性評価を受けて特定秘密を取り扱う者』

だけ。

適性評価を受けてもいない国民が、秘密の漏洩で処罰されることはありません。

そこは非常に明確です。

だからこの法律の対象になるのは適性評価を受ける約六万人。一億二千万人の0.0005%だけです。

どうも誤解のもとになっているのが、メディアの報道のようです。

例えば、12月1日付けの朝日新聞の特定秘密保護法の解説は..

福島第一原発の作業員Aさんは、『使用済み核燃料に関する情報や汚染水漏れが起きている原発周辺の様子などを発信。』

ある日、警察官がAさん宅を訪れツィッターによる情報発信の中止を求めた。

『特定秘密の漏洩により処罰の対象となりうると警告した。』

という内容ですが、明確に間違っています。

特定秘密の漏洩により処罰の対象となるのは、上記のように、適性評価を受け、特定秘密の取扱いの業務に従事する者であり、そもそもAさんはこの法律の対象になりません。

また、特定秘密に指定されうる事項は、行政機関の所掌事務に係る別表に掲げる事項に関する情報であり、使用済み核燃料や汚染水漏れ等の原発に関する情報は対象になりません。

次に、12月3日付けの朝日新聞による別な解説では..

Bさんは防衛省の特定秘密をデータベース化する業務をしていた。

ある会で、そのBさんが、つい特定秘密を話してしまった。

そして、その会の出席者の一人がブログにその内容を書き、ネット上で拡散してしまった。

『Bさんは特定秘密を漏らしたとして処罰された。』

『特定秘密保護法が施行されたら、特定秘密を知った公務員の家族や友人、さらに省庁に出入りする民間の契約業者で働く従業員にも処罰対象が広がる。』

何度も繰り返しますが、特定秘密保護法で特定秘密の漏洩により処罰の対象となるのは、適性評価を受け特定秘密を取り扱う公務員及び特定秘密の提供を受ける適合事業者の従業員で適性評価を受けて特定秘密を取り扱う者だけ。

特定秘密を取り扱う者は、適性評価を受けなければなりません。だから、誰が特定秘密保護法の対象になるかどうか、明確にされています。

これ以外の者が特定秘密を偶然に知って、それを他の者に伝えても処罰の対象にはなりません。

ですから、家族や友人は処罰の対象にはなりません。

朝日新聞のこうした記事は明らかに誤報です。

では、もうひとつ。

12月5日付けの朝日新聞の特定秘密保護法の解説です。

原発に関心を持つAさんが市民団体の集会で、秘密を明らかにしようと呼びかけた。また、国の機関の前で秘密を明かせと拡声器で訴えた。

『その後、Aさんは突然、特定秘密保護法違反(煽動)の容疑で逮捕、起訴された。』

『特定秘密保護法案は、特定秘密を、1暴こうと話し合う「共謀」、2教えてほしいと持ちかける「教唆」、3明らかにしようと呼びかける「煽動」も5年以下の懲役と規定している。』

「煽動」とは、不特定多数の人間に犯罪を実行することを決意させたり、すでに決意している人間をさらに助長させるようなことをいいます。

市民団体の集会で単に秘密を明らかにしようと呼びかけることはこれにはあたりません。

「共謀」とは二人以上の者が犯罪行為の実行を具体的に計画し、合意することであり、「暴こうと話し合う」ことは共謀ではありません。

「教唆」とは犯罪を実行させる目的をもって他人に対してその行為を実行させる決意を新たに生じさせることであり、「教えてほしいと持ちかける」だけでは教唆に当たりません。

どうもこれまでのマスコミの不正確な報道が混乱と不安につながっているようです。

事実の報道と社の論説は、明確に分けるべきでしょう。