2013年第23週(6月3日~6月9日)に、あらたに1人が先天性風しん症候群(CRS)と報告されました。風しんが流行していた東京都の方です。
これで、昨年秋から11人目になりました。
ですが、これは氷山の一角に過ぎず、もっと大勢のCRS患者が発生しているはずです。このような報告は必ず『実際の患者数 ≫ 報告数』だからです。
以下のようなコメントが、可兒佳代さんの Facebook に寄せられています。可兒さんのお子さん、妙子さんは、CRSによる心臓疾患が原因で18歳で亡くなりました。
先天性風疹症候群はいったい何?っと聞かれます。私のまわりには妊娠中に風疹になって目が白くなる白内障で生まれてすぐ手術したかたが三人います。目と心臓と難聴のお子さんもいるし。どこまでが先天性風疹症候群なんですか?ちなみに甥っ子も妊娠中の風疹で白内障の手術してレンズ??とってぶっといメガネかけてます。まわりにたくさんの妊娠中に風疹の知り合いいますが、 みんな知らないみたいなんですよ。またちがうのですかね?
CRSとして届け出されていない、CRS患者さんが沢山いらっしゃる、ということです。
可兒さんも「妙子の同級生でもお母様が妊娠中に風疹に罹っての難聴の人は沢山いました。この子達はCRSとは言われてません。」と、不思議だったそうです。
かつては、聾学校や病院へのアンケート調査によるCRS患者の全国調査が行われていましたが、1993年を最後に行われていません。これらによると1963~92年に639名、1978~93年に301名のCRS患者さんが見つかりました。
感染症の法律が変わり、1999年4月1日より、医師は CRS患者を診断した場合、報告が義務づけられました。届け出の要件は、白内障又は先天性緑内障、先天性心疾患、難聴、小頭症、精神発達遅滞などから1項目以上の症状を有し、かつ病原体診断として、風しん抗体価の上昇やウイルスが検出されていること。かつ、出生後の風しん感染でないこと、です(参考リンク)。
報告が義務づけられていても、必ずしも全てが報告されるわけではありません(参考リンク)。梅毒は報告率が5%前後という推計値もあります。
そして、病原体診断が必要であるため、出生後しばらくして難聴や心疾患に気づいても、そのころにはウイルスがいなくなっていたり、抗体価が下がってしまえば、CRSとしては報告できません。
あなたの大切な人が、幸せに暮らせるように願っています。どうか、一刻も早くワクチンを接種して、風しんの流行を止めて下さい。
なお、私が共同代表をつとめる『風疹の流行を止めよう緊急会議』は、6月16日の日曜日にセミナーを開催し、そこでは可兒佳代さんらCRS患者さんを子にもつ母親に、ご自身の経験をお話しいただきます。どなたでも参加自由です。