昨年、12月にオリンピック・コンサルタントのニック・バーリー氏を、ロンドン郊外のケントに訪ねて、東京がいかにしてオリンピック招致を勝ち得たか、そして世界に通じるプレゼンのワザについて取材した。
それが1冊の本になったのが「日本はこうしてオリンピックを勝ち取った! 世界を動かすプレゼン力」である。
私もご多分に漏れず、プレゼンやスピーチの類は苦手である。
大学院生として留学したとき、授業でプレゼンを求められるたびに、プレゼンのうまいアメリカ人と同じ場で話をすることに冷や汗を書いたものである。
アメリカでは、子供の頃から、学校で発表することに慣れさせるので、全体的なレベルはとても高い。
ニックさんはイギリス人だが、自分もオリンピック招致に関わるまでは、スピーチもプレゼンも苦手だったという。
おまけに、五輪の仕事をする前は記者だったという。
自分もプレゼンが上手になりそうな気がするではないか。
そんな気持ちで取材に臨んだ。
実際、それ以来、プレゼンをやっていないので、ニックさんの教えを「取材」という名のもとで直々に受けたことによる効果は定かでないが、4月にPERISCOPEの最新号を出すにあたり、東京で人前で話をする機会がありそうである。おそるおそる試してみようと思う。
それはさておき、私がこの本で、一番読んでほしいのは、東京が、日本が、これから東京五輪までの7年間、どう世界にマーケットしていくべきかについて論じている部分である。ニックさんは、五輪は東京が得られる最大のマーケティングチャンスだという。
そしてロンドンは、五輪を通じて、世界がロンドンに持っていたイメージ(赤い電話ボックスと衛兵のイメージ)を、アップデートすることに成功した。
海外に出て、東京という場所が、贔屓目なしで素晴らしくも奇妙で、特別な場所であることはよくわかっている。
けれども日本文化のマーケティングとなると、どうもおかしなことになってしまうことが多い。東京五輪にむけて、東京をどうマーケティングするべきか、今後、活発な議論が起きることに期待したいところである。