秘密保護法、反対派の主張が理解できない

特定秘密保護法案が衆議院を通過し、参議院での審議が始まった。マスメディアを中心に依然として反対意見が多く聞こえるが、僕にはよく理解できない。
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特定秘密保護法案が衆議院を通過し、参議院での審議が始まった。マスメディアを中心に依然として反対意見が多く聞こえるが、僕にはよく理解できない。

反対意見の第一は「対象範囲があいまい」である。法案は対象範囲を防衛・外交・特定有害活動・テロリズムの四分野としているのだが、これの何があいまいなのだろう。法案中の「その他の重要な情報」という表現をとらえて、恣意的に何でも指定される恐れがあるというのだが、与野党合意で「その他の重要な情報」のいくつかはすでに削れられた。そもそも、すべてを列挙するのが不可能な場合に、法律では「その他」が用いられる。しかし、「その他」として含まれるのは、その法律の目的の範囲にある場合に限られ、拡大解釈は許されない。

福島での公聴会では、原発に関する情報が特定秘密として秘匿される恐れが繰り返し指摘されたようだが、原発情報であっても、四分野に関わるもの以外を秘匿できないことは明らかだ。原発の設計図は特定秘密にはならないと政府はすでに答弁している。政府は原発輸出を進めているが、輸出の際には設計図を相手国に渡すのだから、特定秘密に指定できるはずはない。

鳥越俊太郎氏や岸井成格氏らが反対集会を開いている。これらの人々が繰り返し言及するのが西山事件である。しかし、西山事件が起きたのは1972年、40年前の出来事である。僕には、他に言及できる例がないから西山事件を持ち出しているとしか思えない。特定秘密保護法はまだ成立していないのだから、今なら、政府が秘匿し国民が不利益を被っている情報を抉り出し報道することができる。報道によって、事実をもって法案の危険性を指摘するのが、反対するジャーナリストの責任ではないか。

衆議院での参考人質疑では、田島泰彦上智大学教授が反対の立場で発言している。田島教授はアルジェリア人質事件で被害者名公表を要求し、橋下徹大阪市長についての週刊朝日差別報道の際には、サンデー毎日で「橋下氏の本質に迫るためのノンフィクション的な一手法」とコメントした人物である。一方で「監視社会を拒否する会」の代表者として街中への防犯カメラ設置に反対する。自分のプライバシーは徹底的に守る一方で、他人のプライバシーや防衛・外交などの秘密暴露は躊躇しない田島教授のような人物しか参考人にできない反対派には説得力はない。