ユベントス戦から一夜明け、本田圭佑の現地評価は厳しいものが並んだ。ボランチという慣れないポジションでのプレーであったにもかかわらず、敗戦したせいもあるのか、その寸評には一切の擁護はなかった。
■「本田は無風状態」
3日付イタリア各紙は2日のホーム、ユベントス戦後半途中からボランチで出場したACミラン本田圭佑をこぞって酷評した。
「ガゼッタ・デロ・スポルト」紙はチーム最低タイとなる『5.5点』(他はポーリ、ロビーニョ、サポナーラ、カカ)。見出しには「本田に失望させられる」と書かれ、寸評では実にポエティックに本田の不発ぶりを表現している。
「レッジョエミリアでのサッスオーロ戦でのデビューでは素晴らしい希望を持てた。あの夜からこの日本人は皆既日食のように(闇に)なった。ユベントス戦では20分と充分あったが、その傾向を確認することになった。しかし、彼の何が波(イタリア語でオンダは波を意味する)なのか。ここはまったく無風状態で平坦。日本の海(本田)はオイルのようになだらかだ」
インパクト抜群だったセリエAデビュー戦以降、低調なパフォーマンスが目立つ「背番号10」がこの日起用されたボランチでの存在感の希薄さを、波風立たない海にたとえていた。
タンカー事故のせいなのか厚い油膜に覆われた海面のように、ユベントス戦では何も起こせなかった。ミスも目立ち、傷跡を刻むことが難しかった。点数こそ平均的な数字だが、この寸評は酷評以外の何ものでもない。
放ったシュートは0本。パスの成功は21本中18本。二度のボール奪取を記録している。最高点はFWパッツィーニとMFターラブの『6.5点』だ。
■「役に立たない」「空っぽ」
一方、ライバル紙の「コリエレ・デロ・スポルト」紙は叙情的なガゼッタと対照的に、直接的で悪辣だった。評価はチーム最低点の『4.5点』。落第を意味する。
寸評はかなり手厳しい。「役に立たない。使えない。試合に決して入れなかった」
最高は本田と交代したMFリカルド・モントリーボの『6点』だった(アッビアーティ、ボネーラ、デ・ヨング、ロビーニョ、ポーリも『6点』)。カカにも「傷跡を残せない」と厳しい評価を下し、ガゼッタが高評価だったターラブにも「時に悪魔のようになるが、限定的だ」とあまり良い評価ではなかった。
「トゥット・スポルト」紙は本田に『5.5点』を与えている。負傷交代したMFポーリとボネーラの『5点』が最低点だったが、本田の寸評はコリエレ紙同様にひどい。「セードルフ監督が望んでいたものはもたらさなかった。空っぽだった」と切り捨てた。
クラレンス・セードルフ監督はメディアに対し、加入間もない本田への忍耐を強調したが、「背番号10」には常に大きな責任感がつきまとう。どんな短い時間でも、どんなポジションでもかまわない。目に見える結果さえ出せば、この苦境は一変できるはずなのだが。
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(2014年3月3日フットボールチャンネル『途中出場の本田に現地紙は一切の擁護なし。「皆既日食のように闇」「役に立たない。使えない」』より転載)