政府の社会保障制度改革国民会議の報告書の概要を読んでいたら、とんでもないことが書いてあった。
(繰り返すが政府のほうの社会保障制度改革国民会議です)
まあ全体的にも首をかしげる点が多いのだが...。
「今後、支給開始年齢の問題は、年金財政上の観点というよりは、一人一人の人生や社会全体の就労と非就労(引退)のバランスの問題として検討されるべき。生涯現役社会の実現を展望しつつ、高齢者の働き方と年金受給との組み合わせについて、他の先進諸国で取り組まれている改革の狙いや具体的な内容も考慮して議論を進めていくことが必要。」
要するに、年金財政は心配ないけれど、仕事を続ける高齢者が増えるから、年金の支給開始年齢を引き上げたほうがいいんじゃないという書き方だ。
なぜ、きちんと年金財政の問題があるから支給開始年齢の引き上げを検討すると書かないのだろうか。
今回の国民会議は、年金財政についての最新の情報がない中での議論だった。
来年、年金財政の再検証をやることになっているが、それならばまず、再検証を前倒しして、最新のデータをそろえたうえで議論すべきだったのではないか。
今回の議論の基になったのは、2009年の楽観的な(100年安心というための)データだ。
今回の政府の国民会議は、国民にきちんと社会保障制度の現状を説明し、理解してもらうという大きな目的の一つを達成していないではないか。
(※この記事は、2013年8月8日の「 河野太郎公式ブログ ごまめの歯ぎしり」より転載しました)