大手鉄鋼メーカー「新日鉄住金」は9月30日、高級鋼板の製造技術を不正取得したとして、韓国鉄鋼大手ポスコなどに損害賠償などを求めた訴訟で、ポスコから300億円の支払いを受けることで和解したと発表した。時事ドットコムなどが報じた。
ポスコに製造技術を渡したとされる新日本製鉄(当時)の元従業員に対する訴訟は継続する。新日鉄は2012年4月、発電所の変圧器などに使われる「方向性電磁鋼板」の製造技術を不正に取得されたとして、日米で訴訟を提起。東京地裁では約1000億円の損害賠償を求めていた。ポスコは同年7月、韓国で新日鉄を提訴した。
新日鉄住金によると、今年8月、韓国の裁判所が両社に和解を勧告。同社は「(和解金など)所期の目的を一定程度満たす条件を確保できたため合意した」と説明している。
(時事ドットコム:新日鉄住金、ポスコと和解=300億円で-技術流出訴訟 2015/09/30 21:00)
両社は日本と韓国、アメリカで起こした訴訟3件を取り下げた。
この訴訟は「産業スパイ」による海外への情報流出が深刻視されるきっかけとなった。毎日新聞は「日本メーカーではライバルの韓国、中国企業などへの不正な技術流出を懸念する声が広がっていたが、今回の和解は不正流出に一石を投じることになりそうだ」と報じた。
またNHKニュースによると、両社は鉄鋼製品の販売では競争関係にある一方で互いに株式を持ち合うなど幅広い分野で提携関係にあり、これ以上の関係悪化を避ける狙いがあったものとみられるという。
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