山尾志桜里さん「『政治家は一生の仕事』はやめた方がいい」 青野慶久さんと夫婦別姓も議論

「ネットで声を上げて、それが政治を動かす」
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ソフトウエア開発会社「サイボウズ」の青野慶久社長と、山尾志桜里・衆院議員
Kaori Sasagawa

多くの人にパワーと勇気を与えたワーキングマザーを表彰する「ワーママ・オブ・ザ・イヤー」が12月8日、パワーママプロジェクト主催で開催され、選択的夫婦別姓を提唱するソフトウエア開発会社「サイボウズ」の青野慶久社長と、山尾志桜里・衆院議員が「2017年の働き方改革をふり返る」をテーマに議論を交わした。ディスカッションの様子と受賞者をレポートする。

山尾さんは、政府が打ち出した幼児教育無償化に、働く子育て世代が「保育園全入化の方が先」などと大きな声を上げたことに触れ、「当事者の声で社会は変わるとわかった。そういう意味ではいい年だった」と2017年をふり返った。

「ネットで声を上げて、それが政治を動かす」。山尾さんが「保育園落ちた日本死ね」のブログを国会で取り上げたのは、2016年2月。「当時はネットのブログでしょ? 匿名でしょ? と言われたが、『匿名でダメなら私たちが名乗ります』と1週間で2万7000人の署名が集まった」とふり返った。

「就学前の無償化は絶対やった方がいい。でも順番がある。お母さんたちが声を上げている。それは本当その通り。隠れ待機児童も、『私待ってます』と前に出していくこと」

「保育の質」の議論が進んでいない現状について、山尾さんは「(保育園に)預けられればいいのではなくて、(保育の)クオリティを上げたい、という声が今は届いていない」と指摘。青野さんも「最初の子のときに保育園を見学して、思ったより、ここ預けたくないな、と思うところもあった」と自身の保活経験を語った。

国会における女性議員の比率は9.3%。戦後70年間ほぼ変わっていない。山尾さんは「政治家は一生の仕事、というのはやめた方がいいんじゃないか」と問題提起した。

「ある一定の期間は政治家になって、それが過ぎたら別の役割をしたらいいんじゃないか。自分もそれでいいんじゃないかと思うようになった。そしたらママとか、いろんな人がトライできる。『落ちるまでやる。落ちてもやる』はハードル高い。それをちょっと変えたい」

経営者の青野さんは「何回当選したかが役職につながっている。年功序列。イケてない会社と同じですよ」と語った。

山尾さんは今、43歳。「前の世代は『配慮していただかなくても私は大丈夫です』といわないと、働きつづけられなかった」としながら、「私たちの世代は、配慮はお願いできる。でも配慮ってお願いする方も、受け止める方も辛くないですか」と投げかけた。

「国会でも3年は配慮をお願いできる。でも、3歳で子どもはお留守番できるんですか?」

「子供を連れてこないために努力をしたんですか? 自分の事情を全部言わないといけないんですか? 次の20代、30代はそうじゃない。当たり前だよね、という空気にしてバトンを渡したい」と語った。

青野さんは「仕事ばかりやってきた経営者がアホだと思っているんです。子育てして、育児してくれないと市場がなくなると気づいた。商売人は子育てを最優先すること」と話した。

青野さんは「夫婦別姓」を求める裁判を起こす予定だ。2001年に結婚し、妻の氏を名乗ることにしたが、実際に変えてみるとさまざまな不便さを痛感したという。

「旧姓を使用して働くのが、どんだけ大変か。おっさんはやったことがないからわからない。ホテルの予約も大変。待機児童と同じで、声を上げていかないとわからない」

野田聖子議員など賛成している国会議員もいる。山尾さんは、「2015年に夫婦別姓、違憲ではないという判決が出たんですが、女性の裁判官は全員違憲だった。裁判じゃなくて国会でやってくださいと言われたと受け止めて、なんとかやりたい」と語った。

「姓は96%の女性が変えているのに、国会議員の9割は、姓を変えたこともない男性が占めている。でも政治家にとって名前ほど大事なものはないわけですよ。名前が変わることがどれだけ厳しいか、知っているのはみなさんじゃないですかと言っている。そんな運動を大きくしていきたいですね」

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パワーママプロジェクト」は、ママのロールモデルをシェアして、明日の活力を繋げるプロジェクト。これまでに241人を紹介している。

2017年の受賞者とコメントは以下の通り。

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「ワーママ・オブ・ザ・イヤー」2017年の受賞者ら
Kaori Sasagawa

■大賞

P&G 広報渉外部 シニアPRマネージャー 田上智子さん

「柔軟な働き方も認めてくれる会社や上司、チーム、家族、近所のママ友にもお世話になっています。40代で息子も11歳。みなさんよりちょっと上だが参考になることがあるかもしれない。30代は仕事も母親業も中途半端だったが、40代になって足し算でどっちも楽しくやっていこうと考えられるようになりました。洗剤の広報で、『いい製品使うとズボラで大丈夫だよ』と伝えてきました。大丈夫っていう空気感が作っていければいいなと思います」

・DMM英会話 広報 平理沙子さん

「育児も仕事も手探り」「この賞を一つのきっかけに、一つの自信になりました」

・hacocoroブランドマネージャー 小池朝子さん

「新卒3年間バリバリ頑張っているところで育休。自分がストレートにやりたいことに向かっていく力になった」

・CURIO Japan株式会社 代表取締役社長 今西由加さん 

「20年くらい外資系でサラリーマンをしていた。今年の春に日本の留学生のネットワークを活かして起業。今までとは違う景色が見えるようになった」

・mamaPRESS編集長 大脇香織さん 

「核家族で3人の子供を育ています。保育園の送り迎え、大変なことも多いけど、楽しいことも多いんだよと伝えたい」

・株式会社CyberZ 人事部マネージャー 山本真由美さん

「1歳半、復帰6カ月。まだまだ新米。でも復帰直後だからいえることもある」