PRESENTED BY Philip Morris Japan

「紙巻たばこの終焉こそ、我が社のサステナビリティ戦略」世界的たばこメーカーの挑戦、今後の展望を聞いた。

フィリップ モリス ジャパンが「煙のない社会」を本気で目指すのは、一体なぜ?
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2月末、パシフィコ横浜で開催された「サステナブル・ブランド国際会議2021 横浜」。世界最大のたばこメーカーPMIの日本法人であるフィリップ モリス ジャパン(PMJ)の井上哲副社長が、今年もこの舞台に登壇した。

「紙巻たばこからの撤退を目指します」

これは昨年、同会場をどよめかせた井上副社長の言葉だ。同社は今年も、紙巻たばこの喫煙を終わらせるための決意と「煙のない社会」を実現させる取り組みの進捗を伝えた。

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JULIE FUKUHARA

「企業の役割を示すモデルケース」世界で評価される取り組み

紙巻たばこの世界的トップブランド、そして加熱式たばこ「IQOS(アイコス)」を展開するPMI。その日本法人であるPMJは2020年を「サステナビリティ元年」と位置付け、たばこ会社ならではの「喫煙と健康」という課題意識を中心に据えた、体系的な戦略に基づく取り組みを展開してきた。 

PMJの井上副社長が登壇した「サステナブル・ブランド国際会議2021 横浜」では、同会議の創始者であるコーアン氏が、同社の取り組みに言及するシーンもあった。

同氏は、「PMIが紙巻たばこからの撤退にコミットしていること、さらに、ニコチン関連製品以外の分野を見据えたビジネスの展開を投資家に示したことは、賞賛に値する。事業、インフラ、技術力を活用し、社会的価値を創造する同社は、企業の役割を示すモデルケースの一つ」と評価する。

「喫煙者にとって、禁煙がベストな選択。しかし、どうしても喫煙を続ける意思を持つ方に対して、当社は“ベター”な選択肢を提供し、将来的には紙巻たばこ事業からの撤退を目指す。そのストーリーこそ、我が社のサステナビリティ戦略そのものです」

そう話す井上副社長に、同社が考える“ストーリー”を聞いた。

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フィリップ モリス ジャパン合同会社 職務執行役副社長の井上哲さん。
JULIE FUKUHARA

サステナビリティ」身近に感じるきっかけを

── 「サステナビリティ元年」であった2020年を振り返って、いかがでしたか。

井上副社長(以下、井上) 新型コロナウイルスの影響でさまざまな変化が生じ、社会全体として先の見えない部分が多かったと思います。しかし、当社の事業変革を改めて振り返ってみると、サステナビリティレポートにもあるように、ゴールに向けて着実に進んでいることを数字が証明してくれています。

PMIのサステナビリティ戦略は、事業変革を中心に体系的な道筋を描き、そして具体的で着実なマイルストーン(数値目標)を置いています。だからこそ、未曾有の事態でも軌道修正をせず、会社として方針をぶらさずにできているのです。

一方で、社会にさらなるインパクトを与えていくためには、対外的な発信と社会との対話を促進していくことが必要だと感じています。これが、2021年の課題です。

── スピーカーとして登壇したセッションの中でも、サステナビリティの取り組みを身近に感じさせる工夫がありました。

井上 私は繰り返しこう伝えています。「今たばこを吸っていない人、絶対に吸わないでください。今喫煙している人は、禁煙をしてください」と。
加熱式たばこは、どうしても禁煙を選ばない成人喫煙者のための“ベター”な選択。我々が考える“ベスト”な選択は、禁煙をしてもらうことです。

たばこ会社が何を言っているんだ、と思われるかもしれませんが、このような発信を続けることが当社の責任だと考えています。

世界的に見てもIQOSの認知度が高い日本だからこそ、我々は日々の事業活動を通して、サステナビリティのアプローチを伝えていくチャンスがあります。ただ製品の選択肢を一つ増やしたという単純なことではありません。喫煙と健康の問題に真正面から向きあって社会的責任を果たすため、喫煙のリスク低減を目指す研究開発・製品化に挑み、 “ベスト”な選択が難しい喫煙者には“ベター”な選択肢を提供する。そして、当社は将来的に紙巻たばこ事業からの撤退を目指す。このストーリーこそが、我が社のサステナビリティ戦略の中核です。

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SB国際会議でのセッションの一幕。今年はオンラインでの登壇となった。
JULIE FUKUHARA

対外的な情報発信で重要なことの一つは、科学的な「データ」に基づき、「ベターな選択」の根拠を示していくこと。
コロナ禍でもさまざまな情報が錯綜しましたが、正しい情報を正しく提供していくことは企業の責任です。さらに公的機関が、バランスの取れた客観的な科学的評価を行うことは今後ますます重要になるでしょう。こうして、成人喫煙者が根拠のある情報に基づいた判断をできる環境が整ってくるのだと考えています。

── 身近な社会課題の解決を目指す取り組みも、この1年で大きく加速しました。

井上 昨年8月には品川区と当社が連携して、JR大崎駅西口に加熱式たばこ専用エリアを開設しました。紙巻たばこを使っていた人が加熱式たばこに切り替えても、喫煙所で紙巻たばこの煙やにおいの“害”を受けてしまったらベネフィットを享受できません。コロナ禍ということもあり、トリックアートによりソーシャルディスタンスを確保できる工夫もしています。 

岐阜県白川村とは包括協定を締結し、世界遺産エリアである白川郷での火災発生リスク低減と環境保全のために「煙をなくす」喫煙環境の整備も進めています。

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岐阜県白川村の白川郷でおこなわれる、世界文化遺産に登録されている合掌造り集落の火災に備えた放水訓練の様子。かやぶき屋根で燃えやすく、火災が起きると集落全体に延焼する恐れがあるため、毎年、住民と消防団が訓練を実施している。
gyro from istockphoto

PMJが社会課題に対して、事業の特徴を生かしてどういう解決策を提供していくのかを考え続けることは、非常に重要です。

全国の自治体や企業と協力し、こうした取り組みをさらに進めていきたいと考えています。

── 最後に。企業がサステナビリティに取り組む意義について、どのようにお考えですか。

井上 「PMJは、何のために存在するのか」この問いに対する答えが、サステナビリティそのものではないでしょうか。

「企業は社会の公器である」

ドラッカーや松下幸之助さんが述べた言葉ですが、改めて、この言葉の重要性を感じています。業界を問わず、事業のさまざまな側面でトランスフォーメーション(変革)が求められる今の時代、サステナビリティ戦略を持たずして事業を成長させていくことは困難でしょう。

幸いPMJでは、サステナビリティに取り組む意義やその先にあるビジョンを、社員一人ひとりが本当に「腹落ち」する感覚で理解し、切迫感を持って事業変革に取り組んでいます。だからこそ、なぜ当社が社会に存在するか、なぜ当社で働くのか、ということが明確になるのだと感じています。

新たなステークホルダーとの協業や、科学に基づくデータや情報発信、官民の連携。PMJは、企業がSDGs達成に向けて取組む上での参考事例を提供できる存在になりたいです。

4つの柱で「煙のない社会」へ

PMIはサステナビリティ戦略に4つの柱を設定し、SDGsの17項目に関連付けて優先課題を整理してきた。日本での主軸事業がPMI製品の販売・マーケティングであること、そして加熱式たばこをリードする市場であるという特徴に基づき、PMJは独自の取り組みをおこなっている。

同社は、たばこ会社だからこそ自社製品の害と向き合うことからスタートし、「煙のない社会を目指すこと」を共通の目標に掲げる。

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SB国際会議では、加熱式たばこ“先進国”だからこそできる取り組みが、井上副社長から発表された。
Philip Morris Japan

同社にとって、サステナビリティの戦略的取り組みを開始してから2年目にあたる2021年。「煙のない社会」「紙巻たばこからの撤退」、実現に向けてどのようなアプローチがとられるのか、引き続き注目したい。