プラスチックは、文化やライフスタイルの違いに関わらず、私たちの生活から切り離せない材料の一つだ。
残念ながら、従来の石油を使ってプラスチックを生産する方法では、この先もずっと継続してプラスチックを作り続けることは難しい。
しかしある科学者グループが、池の中のどこにでもあるような藻類を、プラスチックを生成するマシンに変える方法を発見した。こうした藻類が地球を救うことになるかもしれない。
どこかのSF映画の話に聞こえるかもしれない。この藻類はありふれたものだが、遺伝子操作によってプラスチックを生成しながら、同時に気候変動の原因になる温室効果ガスの二酸化炭素(CO2)を吸収するように改良されている。
研究者のジャンピン・ユー博士は、アメリカ再生可能エネルギー研究所(NREL)の光生物学研究グループと共同で藻類の遺伝子組み換えの実験を行い、ポリエチレンを構成する化合物のエチレンを生成できるようにした。
ユー博士と共同研究のチームは、藻類にエチレン生成酵素を発現させる遺伝子を導入することで、藻類がエチレンを生成させることに成功した。
この方法によって、これまでのプラスチック生産の仕組みが根本的に代わる。この遺伝子組み換えの藻類でエチレンが生産されるようになれば、従来の石油からエチレンを作る方法に取って代わる可能性もある。
しかし、この研究が画期的なのは、藻類がCO2と相互作用を行うことだ。
科学誌「サイエンティフィック・アメリカン」によると、藻類が1トンのエチレンを生産するのに、その3倍のCO2を取り込むという。
つまり、藻類はCO2吸収源のように機能する。
従来の石油からエチレンを生産する過程は水蒸気分解によって行われる。そこでは多くのエネルギーを消費し、もちろん多くのCO2が排出される。サイエンティフィック・アメリカンによると、この方法ではエチレン1トンにつき、排出されるCO2は約3トンになる。
ユー博士は、もし藻類によるエチレン生成の研究がもっと大規模になれば、CO2排出の問題も解決できるかもしれないと説明した。
「CO2をもっと役立つものに変えた方がいいのです。CO2を地面に注入する必要はありません。CO2は何年も残ってしまいますから」
ユー博士とNRELのチームが目指すものは、現在のプロセスの規模を大きくして、いつか池を覆っている藻類をプラスチック製造センターとして機能させることだ。これが実現すれば科学が10年進むとユー博士は話した。
研究者たちにとって乗り越えなければいけないハードルは、藻類によるエチレン生成のコストだ。現在ではエチレン1トンにつき3000ドルほどかかってしまう。現在のエチレン生成のコストである、エチレン1トンにつき600〜1000ドルほどになる方法を確立する必要がある。
この記事はハフポストUK版に掲載されたものを翻訳しました。
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