パイオニア、DJ機器事業を売却 世界シェア1位なのに手放す理由は?

世界シェア7割を占めるDJ機器事業を、パイオニアが手放すことで最終調整に入った。
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SAO PAULO, BRAZIL - DECEMBER 01: Pioneer Dj during the Ayrton Senna Racing Day - Relay Marathon at the Autodromo Jose Carlos Pace-Interlagos on December 01, 2013 in Sao Paulo, Brazil. (Photo by Daniel Vorley/Getty Images)
Daniel Vorley via Getty Images

世界シェア7割を占めるDJ機器事業を、パイオニアが手放すことで最終調整に入った。9月3日にロイターが報じた。

関係者によると、パイオニアは、バンクオブアメリカ・メリルリンチをアドバイザーに採用し、売却手続きに入った。買い手として、複数の外資系投資ファンドが最終候補に残っている。

(ロイター「パイオニア、DJ機器事業も売却へ 金額600億円規模=関係者」より 2014/09/03 20:19)

売却されるのは、ダンスミュージックで使われるCDプレイヤー「CDJ」シリーズやミキサー、コントローラーなどの事業で、年間売上げは200〜300億円。利益率の高い「優良事業」で、世界的に人気も高いため当初は売却しない方針だったが、経営再建のために売却を余儀なくされることになった。

買い手としては、複数の外資系投資ファンドが最終候補に残っているという。売却額は600億円規模になる見込みだ。

1990年代までダンスミュージックのDJは、レコードプレイヤーを使うことが一般的だったが、パイオニアは世界初のDJ用CDプレイヤー「CDJ-50」を1994年に発売。CDを使ってDJをすることが世界的に普及。世界のクラブシーンで「パイオニア」は定番のブランドとして親しまれることになった。

パイオニアは経営再建に向けて、カーナビなど自動車向け機器の分野に人材や資金を集中させる戦略を進めており、赤字が続くAV(映像・音響)機器事業は6月に同業の「オンキヨー」と中国の投資ファンドに売却することで基本合意した。これに続いて、人気のあるDJ機器事業も手放さざるを得なくなったようだ。

パイオニアは、1938年に創業。国産初のダイナミックスピーカーを開発するなど開発力に定評があり、1960〜70年代の高級オーディオブーム当時は、山水電気(現在は破産)、トリオ(現JVCケンウッド)と共に「オーディオ御三家」と呼ばれていた。

【UPDATE】パイオニアは9月4日、「本日の一部報道について」というリリースを発表。「 当社は、DJ機器事業の売却も含め、事業ポートフォリオの見直しについて、様々な選択肢を考慮し検討しておりますが、決定した事実は何もありません」と一連の報道について言及した。

【UPDATE2】9月16日、パイオニアはDJ機器事業を、アメリカのファンドのコールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)に売却すると発表した。売却額は590億円。

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