思わずトンカツを食べる手が止まってしまいそうな研究結果が発表された。
その研究は「ブタの内面性」についてまとめたもので、「ブタは遊び好きで賢い生き物である。また優れた長期記憶を持っていて、仲間のブタをうまくだます能力もある」と明らかにしている。それに、自分の知っているブタと初めて会うブタの区別ができるのはもちろん、自分に親切な人間とそうでない人間を見分けることもできる。
この研究の論文「思考するブタ:ブタの認知能力、感情、個性の比較検証」は、科学者たちによって審査された科学論文をさらに調査分析してまとめたものだ。比較心理学の学術誌「International Journal of Comparative Psychology」に掲載されている。
論文を執筆したのは、神経学者でキンメラ動物愛護センター創設者のローリ・マリーノ氏と、アメリカジョージア州にあるエモリー大学のクリスティーナ・M・コルヴィン教授だ。論文は「これまでの研究から、ブタには複雑な認知能力があり、知能が高いとされる他の動物と多くの共通点があることが分かる」と述べている。
たとえばこの動画は、ブタがパズルを解く様子を紹介している。
ブタはほかの動物と比べてどのくらい賢いのかを尋ねたところ、マリーノ氏は以下のように答えてくれた。
「この論文で目指したのは、ある動物の知能が他の動物より優れているか劣っているかを比較し、単純にランク付けする『直線的な尺度』で測ることをやめることです。私たちの目標はブタに対する人々の理解を深めることであり、ほかの動物と比較することではありません」
「とはいえ、ブタとほかの動物を比較したところ、ブタは多くの領域で、イヌや霊長類と同じくらい複雑な認知能力を持つことが分かりました」
「これはブタがチンパンジーと全く同等の知能を持っていると意味しているわけではありませんが、ブタが優れた知性と認知能力、そして高度な感情と社会性を持つ生き物だ、と考えるのに十分な根拠があることを示しています」
またマリーノ氏は、ブタが持つ巧妙な「ごまかし術」にも驚かされたという。
「チンパンジーは、同じグループの仲間と食べものを争う際に相手をだますような行動をすることで知られています。今回の研究から、ブタもまた餌を食べる時に仲間を出し抜くための戦略を練ることが分かりました」
「ほかの動物に比べて、ブタの行動はこれまであまり研究されてきませんでした。おそらくそれは、ブタがおもに食料、あるいは生物実験の対象としか見られていないからでしょう。今回の論文が、ブタの複雑な認知能力を裏づける根拠となり、ブタに対する見方が変わることを期待しています」
今回の研究は、動物愛護団体「ファーム・サンクチュアリー」によるプロジェクト「サムワン・ノット・サムシング」から資金援助を受けて行われた。家畜に対する思いやりの心と、法的な保護を広げることを目指すサムワン・ノット・サムシングは、家畜の感情や知能、社会的行動に関する科学的研究を支援している。
今回の研究のゴールの一つを、マリーノ氏は次のように話してくれた。「最終的には、人々がこうした情報を活かして肉を食べるのをやめるようになることが理想です。しかし、情報を提示して、それぞれの人たちに判断してもらうだけでも十分だと思っています」
この記事はハフポストUS版に掲載されたものを翻訳しました。
[日本語版:梅田智世、合原弘子/ガリレオ]
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