滋賀県守山市のショッピングセンター、ピエリ守山の中に開設されている屋内動物園「めっちゃさわれる動物園」で飼育されているライオンが流血している写真がTwitter上に投稿され、「虐待では」と議論を呼んでいる。
一方、ハフポスト日本版の取材に対して、運営する堀井動物園の堀井嘉智園長は「流血があったのは事実だが、考え方の違いで虐待は誤解。私たちはライオンのリオンくんは幸せに暮らしていると認識している」と話している。
■「動物の命を何やと思ってるねん」投稿ツイートが話題に
議論を呼んでいるツイートは「動物の命を何やと思ってるねん」という怒りのコメントとともに、雄ライオンのリオンくんが額から血を流している画像を投稿したもの。あるTwitterユーザーが2017年6月3日に投稿したものだ。
ピエリ守山の中に めっちゃ触れる動物園ってのが あるんやけど
こんな狭い場所に ライオンが閉じ込められて 可哀相過ぎた…
なんとか 助けてあげる事は 出来ないんかな…
この動物園の中にいる 動物みんな 生き地獄で 本当に可哀相
動物の命を何やと思ってるねん! 2017年6月3日
★拡散お願いします★
ピエリ守山の中にある めっちゃ触れる園の動物 助けてあげたいの!全ての動物が悲惨な状態 猫も犬もいました ライオンのリオン君は ストレスで小屋に頭を叩き付けて流血してたの!ガラスに付いてるのは リオン君の血液です もういやや 辛い 2017年6月3日
このTwitterユーザーはハフポスト日本版に「私が行った時はガラスに頭叩きつけたりもしていたし、凄いストレスだったと思います」とのコメントを寄せている。ライオンの写真は2017年1月に撮影したものだという。
こうした投稿に対して、動物愛護の活動をしている人々が反応。ピエリ守山側への抗議行動の呼びかけや、条例で飼育に必要な最低限のスペースを決めるよう行政に訴えようという声が広がっている。
運営しているのは、滋賀県守山市内で移動動物園を手掛ける会社だ。この堀井動物園からは、度々動物が脱走する騒ぎが発生。また、2011年2月には倉庫が全焼して300頭の動物が焼け死ぬ火災も起こしている。
こうした過去の事件や、他の動物の目撃報告などからも、運営会社の飼育方法が適切なのかどうか、疑問視する声が挙がっているようだ。
6月5日に再度動物園を訪問したTwitterユーザーは、
「リオンくんは痩せていてグッタリしているように見えました。ケースを叩く大人が多かったです。猫ブースも気温が高く、猫も痩せていました。他の動物でもやっぱり悲しくなる場面が多かったですね」とコメントを寄せた。
■園長は「考え方の違い。虐待は誤解」
運営側はどう考えているのか。
堀井園長によると、リオンくんは3歳になった雄ライオンで、オープン前に輸入商を介して購入した。流血は、ストレスによる自傷行為などではなく事故で、「十分快適な施設だと考えている」と話している。
リオンくんを展示している檻はガラス貼りで、園長によるとおよそ横4メートル縦3メートル、高さ4メートルほど。その他にバックヤード部分に寝室や餌場が設置されているという。
園長による説明は以下の通り。
——リオンくんの頭に流血があったのは事実でしょうか。
はい。あったのは、半年ぐらい前です。
——ストレスで自分で頭をぶつけたのでは?という指摘があります。
そうではなくて、檻のガラスのビス(留め具)が内側に突き出していて、そこで頭を引っ掛けてしまったことが原因。それから、そのビスの突起部分で頭をこするのが快感になって何度もやってしまった。
——今はどんな状況でしょうか
獣医にもちゃんとけがの診察をしてもらい、今はカサブタになっていますが、傷も治っています。ビスの部分についても危ないということで業者を入れて取り除く作業をしました。
——狭い檻の中で飼うのは虐待では?という声もありますが
私たちは移動動物園の運営を30年してきた実績があり、大事に飼っています。ネットで多くの方がコメントしているのは知っていますが、皆写真を見て言っているだけで誤解している。ここへ見に来てもらえれば、十分に快適な施設だと(わかると思います)。周囲からも「リオンくん、こんなに肥えて幸せなライオン、いない」なんて言われることもあるぐらいです。
動物園という性質上、100人が100通りの意見があって、考え方が違う人を満足させることはできないかもしれないけど、私たちとしては、「幸せに暮らしている」という認識でいます。
■動物園は「明るい廃墟」再オープンの目玉
ピエリ守山は2008年にオープンしたが、周辺に大型ショッピングセンターがオープンするなどの影響もあり経営不振に陥り、運営会社が2010年に倒産。開業時約200あったテナントが次々に撤退し、ネット上では「明るい廃墟」などと名付けられて話題になった。
その後、別の会社が施設を買い取り、改装を経て2014年12月に再オープン、「めっちゃさわれる動物園」は目玉の1つとして入居した。
動物園内では、ライオンやワニなどを含む35種500点の動物が飼育されている。また、ヘビやフクロウなどに直接触ることができるのが特徴で、人気の施設になっている。
【UPDATE 2017/06/06】
■滋賀県と守山市が立ち入り調査
滋賀県動物保護管理センターと守山市環境政策課は6月5日、市民からの情報が寄せられたとして共同で「めっちゃさわれる動物園」の立ち入り調査に入った。
守山市環境政策課の担当者は、ハフポストの取材に対して、ライオンがケガをした経緯について説明を受け、ビスの形状を変更するなどの作業が既に行われていたことが確認できた、として「現状では問題がないと考えている」と話した。
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