米だけじゃない!投票率7割超!比大統領候補のネット選挙を追う

フィリピンでは、6月のアキノ現大統領の退任に伴い、今年5月にフィリピン大統領選挙が行われます。
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2016年に入り、日本の夏の参議院議員選挙やアメリカ大統領選挙の話題が多く取り上げられていますが、今年は日米以外のアジア圏でも重要な選挙が行われる環太平洋選挙イヤーです。

先月16日には、台湾総統(大統領)選挙で民進党の蔡英文氏が当選、台湾初の女性総統が誕生したことは記憶に新しいでしょう。

またフィリピンでは、6月のアキノ現大統領の退任に伴い、今年5月にフィリピン大統領選挙が行われます。今回は、次期フィリピン大統領候補5名のネット選挙の状況を調べてみました。

1.マニュエル・ロハス候補 (Manuel "Mar" Araneta Roxas II)

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(Facebookプロフィール写真)

現大統領アキノ氏が、自らの後任として指名したのがマニュエル・ロハス氏。現大統領アキノ氏に「自分の後を引き継げるのはロハス氏しかいない」と言わしめるほど、大統領から絶大な信頼を受けています。また、ロハス氏は、祖父が元フィリピン大統領、父親は上院議員というフィリピンを代表する政治家家系の出です。

アキノフィリピン現大統領の母親も元フィリピン大統領という政治家一家であり、アキノ現大統領、そして後任に指名されたロハス氏ともにフィリピンでの知名度は群を抜いているものの、名家の出であることから、庶民目線での政治が期待できない・・・という声もあるようです。

さて、そんなロハス氏がネット選挙で活用するのは、ホームページFacebooktwitter

フィリピンでは、公用語はフィリピン語と英語であるため、ロハス氏のホームページは英語表記。Meet MAR(「マーについて見てみよう」名前をMar Roxasとしている。)では、ロハス氏の経歴を時系列で紹介しています。「Personal Life(パーソナルライフ)」「Milestones(人生の大きな節目)」「Public Role(公務)」の3つに分かれるカテゴリーごとに、当時の役職の詳細や言葉が見られるようになっています。

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パーソナルライフでは、「結婚」や「友人の死」の項目も見られ、人柄のアピールも見られます。

ロハス氏のFacebookページのいいね数は134万人、Twitterフォロワーは58万人となっています。また、アキノ現大統領のFacebookページいいね数は425万人、Twitterフォロワー数は300万人を越えているので、ロハス氏が後任指名されているとはいえ、現段階では国民の支持がそのままロハス氏に引き継がれているわけではなさそうです。

2.ジェジョマル・ビナイ候補 現副大統領(Jejomar Binay)

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(Facebookプロフィール写真)

現副大統領であるビナイ氏は意外にもホームページは持っておらず、副大統領の政府公式ページがあるだけですが、faceboookページいいね数は208万人、ツイッターフォロワーは約30万人を抱え、SNSは大いに活用。facebookカバーページには「200万人いいね達成!」と大きく書かれています。

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ビナイ候補のYouTube運用は、VP Jojo Binay(ジョジョ・ビナイ副大統領)というアカウントがあるものの、政府公式ホームページにYouTubeに関する情報はなく、登録者数もたった95名という現状から、YouTubeアカウントに直接誘導する戦略はないようです。

しかしFacebookやTwitterではビナイ氏の動画が共有されているため、YouTubeで作成した動画や情報の発信はFacebookとTwitterに絞っていることが伺えます。

ツイッターはほぼ毎日更新しており、かなりの頻度で活用。言語については、Facebookは主にフィリピン語、Twitterでは英語とフィリピン語の両方を駆使しています。

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3.グレース・ポー候補(Grace Poe) 

出馬資格剥奪?で裁判中でも、支持率はNo.1 をキープ

今回の選挙戦で2名いる女性候補のうちの1人、グレース・ポー氏。

「投票日からさかのぼって10年間の国内居住」を定める候補者要件を満たしていないとして選挙1管理委員会から昨年12月に失格処分を受け、現在最高裁に不服を申し立てている最中ですが、クリーンなイメージで現在も最も高い支持率をキープしています。

波乱含みのスタートとなったポー氏は、赤ちゃんの時に教会の前に置き去りにされて孤児となったものの、その後フィリピン映画界の王と女王と呼ばれるフェルナンド・ポー氏とスーザン・ロセス氏夫妻に養子として迎えられた生い立ちで有名ですが、裁判では「そもそも本当にフィリピン人なのか?」ということも大統領立候補の権利剥奪の一因にもなっているようです。

ポー氏のキャリアは、アメリカのボストンで政治学を学んだことから始まり、フィリピンに帰国後は3児の母として上院議員を努めるまでになりました。(ポー氏のホームページMEET Graceより)

そんなポー氏のネット選挙では、ホームページFacebookTwitterInstagramYouTubeを活用しています。

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ホームページや各SNSでは、強調したいワードに#(ハッシュタグ) が付けられており、ネット上での拡散が意識されています。#POE2016のようにハッシュタグに名前、選挙年を付けるスタイルは、米大統領選候補者間では定番の拡散方法です。

(例)#Trump2016

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ポー氏のフォロワー数はFacebook187万人、Twitter7万人、Instagramでは6万人のフォロワーがおり、どのツールにおいても日々着実にフォロワー数を伸ばしています。YouTubeは、アカウント名が「Team Grace Poe 2016」となっており、大統領選のために作られた動画アカウントになっています。

裁判中にもかかわらず、高い支持率でリードするポー氏。フィリピンでは、過去に2人の女性が大統領に就任しており、もし立候補が裁判で認められ、大統領選でポー氏が選出されればフィリピン3人目の女性大統領となります。

4.ロドリゴ・ドゥテルテ候補(Rodrigo Roa Duterte)

ダバオ市長を務め、ダバオ市を安全な都市へと導いた実績があるドゥテルテ氏は大統領選挙出馬締め切り後の11月に出馬を発表しました。

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(Facebookプロフィール写真)

現在ダバオ副市長であるドゥテルテ氏の自身のホームページは期限切れしており、ロハス氏同様政府の公式ホームページがあるだけですが、SNSではfacebookページTwitterを活用しています。

支持率ではロハス氏と3位、4位の座を争っていますが、facebookページではロハス氏を上回る157万人以上のいいね数を得ています。

ちなみに、自身では運用していないInstagramですが、ドゥテルテ氏を応援する女の子の写真が#duterte #duterte2016というハッシュタグ付きでアップされています。

(Instagram)

モカガールズというフィリピンでは有名なガールグループだそうですが、こんなにかわいい子に支援されて、さぞかし選挙にも力が入ることでしょう。

5.ミリアム・ディフェンサー・サンチャゴ候補 支持率最下位フォロワー数1位の不思議

ポー氏以外のもう1人の女性候補者、上院議員サンチャゴ氏。

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常に最下位の支持率から抜け出せないものの、ネット選挙はホームページfacebooktwitterInstagramとフル活用。しかも、FacebookとTwitterでは5名の候補中でダントツ1番のフォロワー数を得ており、Facebookに関しては「200万いいね!達成」をカバーページにアピールするビナイ氏と100万以上の差をつけています。

#ThrowbackThursday(木曜日に昔を振り返ってみよう)のハッシュタグで、2月11日木曜日に投稿された「24年前、1992年に初めて大統領選に出た時と同じサングラスをまだ持っているのよ!」には7万7,000人以上のいいね!をつけています。

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twitterでは230万人、Instagramでは2万6,500人のフォロワーがおり、ネットでの知名度が圧倒であるものの、支持率にいいね数やフォロワーが反映されていないのが残念なところ。

ネット上のフォロワーを残りの3ヶ月で票に取り込んでいけるのか、サンチャゴ氏の動きには要注目です。

■全候補者(+現大統領) SNS活用状況まとめ Facebook・Twitterは全員活用!

上記5名の候補者に加えて、現大統領のSNS活用状況をまとめた表がこちら。

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意外にも2名の候補者がホームページを保有していませんが、FacebookとTwitterに関しては100%の活用率。フィリピンでは、FacebookとTwitterを利用してのネット選挙が定着していることがわかります。Instagramは、2名の女性のみが活用しています。

フォロワー数に注目すると、現大統領のフォロワー数の多さに次いで、サンチャゴ氏のフォロワー数の多さが目立っています。

■日本と大違い!国民の7割超が投票へ行くフィリピン

2016年現在、フィリピン国民の人口は約1億人と言われており、日本と大差はありません。

しかし、違うのがその有権者数。日本は1億2700万人の人口のうち、1億人1千人が有権者と言われており、少子高齢化が有権者数に顕著に現れています。

一方、フィリピンでは2016年の有権者数は約5,500万人と推定されています。2013年に行われた中間選挙では当時の有権者の75%にあたる3,990万人が投票したと発表されているので、今回2016年の大統領選で同割合の有権者が投票した場合の投票者数は約4,000万人前後となる見込みです。

日本の2014年の衆議院選挙では、小選挙区で戦後最低投票率52.66%を記録しました。当時の投票者数は5,470万人と発表されており、2013年のフィリピンでの選挙の投票者数よりは多いものの、「有権者数」の母数が倍近く異なることに鑑みると、有権者の半数が棄権する日本と、4人中3人が投票するフィリピンの政治に対する温度差が見られます。

日本でフィリピン同様75%の有権者が投票すれば、合計で約8,200万人分の票が投じられることになり、3,000万票近くが従来の票に加えて動くことになります。

フィリピンと比較すると、日本人有権者の棄権の多さに、改めて気付かされます。

■最後に

フィリピン国民がフィリピンの貧困問題解決をはかることができる大統領の選出を重要視する一方、世界からは南シナ海や経済の問題を含めた中国対策について関心を集めるフィリピン大統領選挙。

2010年の大統領選挙ではアキノ氏が1520万8678票を獲得して当選しています。

ネット上のフォロワーの票が今後どのような動きを見せるのか、大統領選が行われる5月9日まで、候補者のネット選挙を中心に注目が集まります。

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