JR北海道は、開発費に25億円を投じた新型特急用ディーゼル車「キハ285系」の試作車3両について、検査車両としての活用を断念した。4月26日、産経ニュースなどが報じた。
キハ285系は2006年に開発を開始。「振り子装置」と「車体傾斜装置」を組み合わせた世界初の「ハイブリッド車体傾斜システム」を取り入れた。車体を8度傾斜させることができ、通常は時速90kmで走るカーブを時速140kmで通過できる。「振り子装置」には乗り心地が悪くなるという欠点があるが、車体傾斜装置によって改善されたという。JR北海道では北海道新幹線開業後に、札幌〜函館間の特急列車として運行することを計画していた。
しかし、2011年の石勝線列車火災事故以降にトラブルが相次いだことで、JR北海道は高速化より「安全最優先」を余儀なくされた。安全対策への重点投資が必要になったため、島田修社長が2014年9月に開発中止を発表した。
キハ285系のイメージ図
札幌運転所にある試作車は当初、レール幅や電気設備の異常を調べる「総合検測車」としての活用を検討していたが、車両の構造が複雑で、改造に多額の費用がかかることが判明したという。JR広報部は北海道新聞の取材に対し「検測車への転用は、車両構造上極めて困難なため実施しない」と認めつつ、「今後の活用法について検討しているところ」とコメントしている。
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