厚生労働省は6月27日、65歳で公的年金を受け取り始めてから90歳になるまでの受給水準の推移に関する試算結果を公表した。現役世代の平均収入に対して夫婦2人のモデル世帯が受け取る年金額を示す「所得代替率」は、現在30~65歳のどの年齢層についても受給開始時は50%を超えるものの、その後40%台に低下する見通しだ。時事ドットコムなどが報じた。
2004年の年金制度改正では、65歳の受給開始時点の所得代替率を50%以上とする目標を法律に明記。厚労省が今月3日に公表した検証結果では、一定の経済成長が続けば目標を達成できるとの見通しを示していたが、50%以上の受給水準を確保できる期間が長くは続かないことが明らかになった。
試算によると、経済成長が中程度のケースでは、1949年度生まれ(現在65歳)の人の受給開始時の年金月額(夫婦2人のモデル世帯)は21万8000円。現役世代の手取り収入は月34万8000円で、所得代替率は62.7%になる。しかし、給付水準は徐々に低下し、75歳で51.6%、80歳で47.3%、85歳で43.9%、90歳で41.8%に落ち込む。
(時事ドットコム「年金水準、年取るほど低下=現役所得比40%台に-厚労省試算」より 2014/06/28 20:13)
試算は、将来の実質賃金上昇率が1.3%で推移することなどを前提としている。年金の給付水準は、もらい始めは「現役の賃金水準」に応じて決まるが、受給が開始された後は、「物価」の動きに合わせて毎年増減される。しかし、一般的には物価よりも現役世代の賃金の伸びの方が大きいため、年金額の割合を示す給付水準は、年々低下する。
また65歳に年金を受け取る時点の「所得代替率」は、年代が若くなるほど低く、2014年度に55歳となる年代は58.3%、45歳となる年代は54.8%と下がる。
若い世代はさらに厳しい。84年度生まれの30歳の夫婦の場合、49年度(65歳)の受給開始時に既に50.6%。5年後には47.4%と5割を切り、69年度(85歳)には40.4%となる。
(毎日新聞『厚生年金:「現役世代の50%」受給開始直後のみ』より 2014/06/27 22:30)
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