年金機構の情報流出、どんな恐れがある? 高齢者でなくとも警戒すべきことは

日本年金機構から年金加入者の氏名、住所、生年月日など個人情報125万件が流出した問題で、高齢者でなくとも警戒するべきことがあると専門家は指摘する。
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Wikimedia Commons

6月1日、日本年金機構から年金加入者の氏名、住所、生年月日など個人情報125万件が流出した。2日には高齢者を対象に、この問題に便乗した不審な電話も相次いだという。一方で、高齢者でなくとも警戒するべきことがあると専門家は指摘する。今回の個人情報流出によってようなことが起こるおそれがあるのか。以下にまとめた。

■払い込まれる年金が他人にのぞき見される

流出した基礎年金番号と氏名、生年月日の3つの情報が揃えば、住所を変更することが可能となる。そのため、自宅に送付される「ねんきん定期便」の送付先を勝手に変えられて、受給した年金の額などを覗き見されるおそれがある。

このため、機構は流出の対象となった人が年金情報の手続き申請があった場合には、本人であることを確認したうえで行うとしている。

■振り込め詐欺に使われる可能性

流出した生年月日から、年齢がわかる。そのため、通信販売やダイレクトメールなどに情報が使われる可能性や、高齢者を特定して振り込め詐欺などにも利用される可能性がある。

神戸大大学院の森井昌克教授(情報通信工学)は、「年金番号の変更手続きには○万円かかる」などと持ちかけられ、振り込め詐欺などの被害に遭う可能性も考えられると述べた。

また、ITジャーナリストの井上トシユキ氏は、振り込め詐欺犯が「情報流出の被害者が集まり集団訴訟を起こす」などとかたり、訴訟費用の手付金の名目で現金を振り込ませるといったことが起こり得るとしている。

■便乗した詐欺

機構の職員を装って、情報を聞き出そうとするなど、便乗した詐欺が発生する可能性もある。NHKニュースによると、2日には東京都港区で、日本年金機構と称する不審な電話が2件相次いだ。

2日午後2時20分ごろ港区の70代の女性の自宅に、日本年金機構の職員を名乗る男から電話がありました。女性が「本物の職員ですか」と尋ねると、電話は一方的に切れたということです。

 

また、ほぼ同じ時間帯に、港区の別の80代の女性の自宅にも日本年金機構をかたる男から「年代別の調査をしています。おいくつですか。1人暮らしですか」などという電話があり、女性が「1人暮らしではない」と答えると、電話は切れたということです。

 

年金機構かたる不審な電話相次ぐ NHKニュースより 2015/06/02 20:14)

■年金関係の偽装メールが送られてくる可能性

また、メールにも警戒が必要だ。大手セキュリティー会社「シマンテック」の浜田譲治・主任研究員は、「年金関係のメールは偽物の可能性もあるので、しばらくは警戒が必要だ」としている。

機構は「ねんきんネット」を通じて、登録者にメールを送るサービスを提供している。この仕組みを悪用し、ねんきんネットを装って詐欺サイトに誘導するURLが書かれた偽装メールが送られる可能性もある。

■自分の情報が流出したかどうかを確認するには?

なお、機構は情報が流出したとみられる加入者に対し、今後、文書でおわびする。一方で、自分の情報が流出したかどうか早く確認したい場合には、専用の電話窓口が用意されているほか、全国に312カ所ある年金事務所でも確認できる。

専用の電話窓口の番号は0120-818211。14日までの間、午前8時半〜午後9時で受け付ける。専用ダイヤルがかかりにくい場合は、通話料はかかるものの「ねんきんダイヤル」(0570-05-1165)も利用してほしいとと呼びかけている

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