次期衆院選に向けて、各政党に女性候補者を増やすための具体的な取り組みを求める署名キャンペーンが行われている。キャンペーンを呼びかけた学者や学生らのグループは10月8日、集まった約2万3000筆の署名と要望書を自民党の野田聖子幹事長代行に提出した。
インターネット上で署名を呼びかけているのは、議会を男女均等にし、多様性のある政治を目指す団体「パリテ・キャンペーン」実行委員会とジェンダー平等を目指す一般社団法人「Voice Up Japan」。署名はすでに立憲民主党と国民民主党、共産党にも提出しており、今後残りの政党にも申し入れる予定だ。
日本の衆院議員の女性比率は9.9%。世界190カ国中167位(10月1日時点)だ。
こうした現状を受け、要望書では《女性たちが求めてきた政策が、気が遠くなるほど長い年月をかけても前に進まないのは、女性議員が少ないことに原因があると考えています》と訴え、各政党に以下の具体的な取り組みを求めている。
・次期衆議院選挙における女性候補者の数値目標を掲げてください。
・現職でない候補の半分以上は女性にしてください。
・比例名簿では男女は同数にし、女男交互にしてください。あるいは、上位1〜3位は女性にしてください。*性的少数者の候補についても、多様性を実現する観点から優先的な登用を検討してください。
・選対本部に女性を加えてください。
・選挙運動におけるハラスメント対策を講じてください。
野田氏への署名提出の様子は、写真撮影のみ報道陣に公開された。
「パリテ・キャンペーン」実行委員会の上智大法学部の三浦まり教授は署名提出後、「与党が変われば日本全体が変わります。他方で、与党は現職議員が多くてなかなか身動き撮れないという矛盾があります。だからこそ、野党が与党に対してプレッシャーをかけることで、良い意味で政党同士で競争して欲しい」と与野党それぞれへの期待を語った。
自民党の女性議員への取り組みをめぐっては、下村博文選対委員長(当時)が9月、2030年までに女性比率を3割にするため、候補者の一定比率をあらかじめ女性に割り当てるクオータ制を導入するよう要望書を提出している。
女子大学生「子育て、この国でやっていけるのかな」
「子育て、この国でやっていけるのかなという不安があります」
「Voice Up Japan Waseda」の共同代表・蛭田ヤマダ理紗さん(早稲田大学3年生)は、就活を目前にして、キャリアと家庭の両立に不安を抱くようになったと話す。
交換留学先のアメリカの大学では、ヨーロッパで教鞭を取っていた女性講師が、出産を控えながらも、国をまたいで移籍してきたのを見て「ハッ」とした。「女性のキャリアは妊娠・出産で止まってしまうもの」と無意識に思い込んでいた自分に気付き、日本社会に根付くジェンダー不平等を意識したという。
蛭田さんは、女性の生きづらさを改善するためには、女性議員を増やし、女性の声を政治に届けることが重要だと指摘する。
「今回の署名だけで議会が男女平等になるのは難しいかもしれませんが、各政党には『これほど多くの声が女性議員を求めているんだ』と受け止めてもらい、具体的な目標とともに変化していってほしいです」と署名に懸ける思いを語った。
また「パリテ・キャンペーン」実行委員会のリボアルなみのさんは「最終的なゴールは、あくまでパリテ(男女半々)にすること」と力を込める。
パリテとはフランス語で「同等」を意味し、議会選挙の候補者を男女同数にすることを求める「パリテ法」など、「男女均等」という意味合いで使われることが多い。
「人口の約半分を女性が占めているわけですから、政治にもその社会構造が当然反映されるべきではないでしょうか」。なみのさんはそう訴えた。