ママ友ステレオタイプ

子育てという正解がなく「成功」の定義がない世界で、あえてタイプ分けをして自分の属性を確認することが不安感の払拭につながるのでしょうか?
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A-Digit via Getty Images

長男が小学校に入ってから5週間が経ちました。 イギリスの小学校は1年生の前に1年間準備クラス(Reception class)があり4歳の9月から始まります(→『郵便番号で差別される社会』)。

授業時間は朝9時から午後3時、送迎には大人の付き添いが必要です。 日本でも「小1の壁」と言いますが、イギリスでも働く親にとって小学校に入ってからの方が大変、とよく聞いていました(保育園に比べて時間が短いし、休暇が多い)。 ところが長男の小学校が始まる直前に長女が産まれる予定だったので、どちらにしろ私は育休中。 家から学校までは50mくらいなので、送迎は楽勝だと思っていました。

ところが、学校が始まってから知ったのですが、ナーサリー(保育園)の送迎と小学校の送迎はぜんっぜん違います。

ナーサリーは両親ともに働いている子供が行くところ、私はお迎え担当だったのですが、仕事を切り上げて閉園時間内に滑り込み子どもたち2人の部屋を順番に回ってその日の様子を聞きながら配布物・工作・汚れ物などを回収しベビーカーに押し込んでダッシュで家路を急ぐ・・・どの親も忙しいので"Hi"を言うのが精一杯。 他のママ・パパとゆっくり話ができるのは子供がお友達の誕生パーティーに呼ばれるときくらいです(長男の友達の両親の例→こちら)。

それに対し、小学校の親は共働き家庭もあれば専業主婦もあり、同じワーキングマザーでも企業フルタイム勤務、パートタイム勤務、自営業、フリーランスなどいろいろ。 そして、朝8時から夕方6時までのナーサリーの送迎が母親6:父親4くらいの比率で父親も送りか迎えのどちらかを担当していたケースが多かったのに対し、朝9時から午後3時の小学校の送迎は圧倒的に母親の世界(共働きで送迎できない場合はナニーを雇うかママ友に頼みます)。 朝、子供が教室に入ったのを見届けた後の校庭はママたちの社交場と化しているのです。

イギリスでは親が小学校にボランティアとして積極的に参加します(このボランティアがすごいのでいつか書きます)。 4歳の長男の送迎に新生児と2歳児連れの私は毎日同じ時間に送り迎えするだけで必死で、毎日校庭で繰り広げられる社交に圧倒されていましたが、日本で言う「ママカースト」みたいなものがあるのかとググってみました。 そこで出てきたのがMumsnetというイギリスの母親コミュニティサイトで話題になった(炎上した)母親をさまざまなタイプに分類したもの。

Daily Mail Online: School gate rivalry of the Unfeasibly Glamorous Mums: Which parent stereotype do you fit into?(校門で競い合い場違いにグラマラスなママたち:どのステレオタイプにあなたははまる?)

注:ソースがタブロイドのThe Daily Mailなので女性週刊誌だと思って笑い飛ばしてください。

UNFEASIBLY GLAM MUM: She's done up to the nines and whip-thin. Never seen in the same shoes twice. (場違いなグラマラス・ママ:完璧にドレスアップして枝のように細く、同じ靴を履いているのを見たことがない)

PTA BUSYBODY MUM: Likes to send email APBs (all points bulletin) about cake sales or puppies for sale.(PTAおせっかいママ:ケーキセールや子犬売りますのメールを全員に箇条書きで送るのが好き)

LATE MUM: Lives near the school but is always rushing in just as the door is shutting.(遅刻ママ:学校の近くに住んでいるのに教室のドアが閉まると同時に滑り込む)

MUM OF DISRUPTIVE CHILD: Keeps her head down and others feel sorry for her (but not enough to invite Disruptive Child home to play). (問題児のママ:いつも下を向いていて他のママが可哀想だと思っている(だからと言って問題児を家に遊びに呼んだりはしない))

COMPETITIVE MUM: Enrols child in every activity possible to give them 'the edge'. (負けず嫌いママ:子供に「エッジ(優位性)」を与えるため、あらゆるクラブや習い事をやらせる)

CORPORATE MUM: Will drop off Darling Daughter each morning but won't be the one picking her up. (コーポレートママ:Darling Daughter(「愛する娘」を意味するネット語)の送りはするが、お迎えはしない)

RIDICULOUSLY DRESSED MUM: Wears bizarre clothes, always has a silly looking handbag and haircut. (バカみたいな格好のママ:変な服を着て、いつもみっともないハンドバッグと髪型をしている)

SERIAL MUM: Has a horde of kids, all in different schools. (連続ママ;子供の集団を連れ歩いている、しかも全員違う学校なので毎日大ツアー)

MUM WITH ONE CHILD: Annoyingly lovely. Always has time for your child to come round and make fresh pasta. (一人っ子のママ:イラっとくるほど素敵。 いつも子供のために時間を取ってフレッシュパスタをつくる時間がある)

TRENDY DAD: Thinks all the mothers fancy him. (トレンディーパパ:他の母親たちが自分に気があると思っている)

PUSHY DAD: Always testing maths and spellings on the way into school. (押しつけがましいパパ:いつも登校中に自分の子供に数学やスペルのテストをしている)

同じThe Daily Mailの違う日の記事には"Super Mummy"、"Yummy Mummy"などまた別のステレオタイプもあります(↓)。

Daily Mail Online: Enemies at the (school) gate: Squabbling, bitchy cliques, playground bullying... and that's just the mothers!(校門での敵:口論、派閥、いじめ・・・そんなことをするのは母親だけ!)

「まあ、うちの学校はこんな意地悪な雰囲気じゃないよ」って人がほとんどだと思いますが、日本の「ママカースト」にせよ、共通するのは他人を値踏みしてしまうほどのanxiety(不安感)です。 仕事はある種、「給料」、「ステイタス」というわかりやすい指標があり、「企業」や「業界」「職種」など自分が属するグループがあります。 子育てという正解がなく「成功」の定義がない世界で、あえてタイプ分けをして自分の属性を確認することが不安感の払拭につながるのでしょうか?