今回の「神経バイパス」技術で可能になった、コップの取っ手を握って傾け、中身を出すという動作。この他にもクレジットカードを財布から出したり、それを読み取り機にスワイプさせたりといった、日常生活に関連した複数の運動が可能になった。
Credit: Ohio State University Wexner Medical Center/ Battelle
今回、麻痺患者の運動を回復させるために、大脳皮質運動野から皮質内植え込み電極で記録した信号を、前腕筋の活動にリアルタイムでリンクさせられることが示された。運動野の信号を解読して用いることで、患者の腕に巻いたスリーブに仕込まれた神経筋電気刺激システムを制御した。
このシステムで各指の動きをそれぞれ制御でき、永続的な脊髄損傷を負った24歳の男性患者は、これを使って6種の異なる手首と手の随意運動が可能になり、対象物を握り・操り・放すことができるようになった。
Nature533, 7602
2016年5月12日
原著論文:
doi:10.1038/nature17435
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