【見栄っ張りにご注意を!- パプアニューギニア・ 古見きゅう 連載第7弾!】

出会ってしまったのが今回の写真のヤドカリくん。種としては特に珍しい訳ではなく、割といろんな所で見かけるヤドカリの仲間だ。では、何がすごいって?
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先日、ダイブクルーズに乗船し、パプアニューギニア本土の東端に口を開けるミルン・ベイを約一週間かけて南から北までグルっと巡ってきた。モジャモジャと無造作に力強く生えるサンゴ礁から、黄色やオレンジのカラフルな魚群、イソマグロ、バラクーダなどの大型回遊魚まで惜しげもなく登場し、連日嬉しい悲鳴や雄叫びをあげながら、文字通り朝から晩まで潜り続けた。面白すぎたおかげで、一日の終わりには酒を飲む体力も残らないほどヘロヘロになり、結果として毎日早寝早起きの超健康的な生活をおくることができた。健康志向が高まっている今日、たまにはこんな合宿的ダイブクルーズもイイものなのかもしれない。

海の中でも、ほぼ自由気ままに撮影を続けていた。僕の経験から話をすると、こういった状況(ようは好きなように潜って撮るということ)だと、気に入った作品を撮れる可能性がきわめて高い。まずストレスがないということで、自分の視野が広くなる。視野を広げるということは水中写真を撮るにあたってとても重要なこと。僕らは限られた時間しか水の中にいることができないので、まわりが見えていれば足元で起こっている面白い瞬間に気付くことができる。という訳だ。

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そこで出会ってしまったのが今回の写真のヤドカリくん。種としては特に珍しい訳ではなく、割といろんな所で見かけるヤドカリの仲間だ。では、何がすごいって?見ての通り自分の身体の何倍もある貝を背負っている。しかも海綿がビッシリと付着して、色も形もとんでもないことになっているではないか。

ヤドカリは脱皮を繰り返し、身体が大きくなるにつれ宿貝もフィットするものに交換していくものだが。ここまでミスマッチな宿を背負っている個体も珍しい。あまりにも個性的な貝を見つけてしまって、さぞ嬉しかったのだろう。その気持ちは分からないでもない。パッとこの時思いついたのが昔漫画でみたバイキングの鉄兜。よくこんな貝を見つけたもんだと関心するしかない。

しかしながらこのヤドカリくん。歩いて岩に登ろうとしているのだが、自慢の宿が若干重すぎる様子。プルプル震えながらずっと踏ん張ってはいたが。結局僕が観察していた10数分間はまったく移動できなかった。やはり自身の身の丈というものを常に意識しながら生きていかねばと、小さなヤドカリくんが身体を張って教えてくれた。その感謝の意を込めて、せめて彼をヤドカリ界のオシャレ番長に認定してあげたいと思う。

◯ Text by 水中写真家 古見きゅう

東京都出身。本州最南端の町、和歌山県串本にて、ダイビングガイドとして活動したのち写真家として独立。 現在は東京を拠点に国内外の海を飛び回り、独特な視点から海の美しさやユニークな生き物などを切り撮り、 新聞、週刊誌、科学誌など様々な媒体で作品や連載記事などを発表している。著書に海の生き物たちのコミュニケーションをテーマとした写真集「WA!」(小学館)などがある。 2012年には自身初となる海外での個展も開催した。

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パプアニューギニアは、赤道のすぐ南に位置しており、日本から直行便で約6時間30分の距離にあります。世界で2番目に大きな島、ニューギニア島の東半分をはじめとする600の島々からなり、南太平洋最後の楽園と言われ、そこには美しい海と、山々の深い緑、長い歴史の中で受け継がれた伝統の文化が息づいています。自然と触れ合う旅、文化を探訪する旅など、パプアニューギニアでは、様々な旅の楽しみ方が皆様をお待ちしています。

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