太平洋と大西洋を結ぶ中米パナマ運河で6月26日、拡張工事が完了した記念式典が行われた。新しい運河では従来の3倍近い貨物量の大型船の通航が可能になり、通航第1号は9427個のコンテナを積んだ中国のコスコグループ(中国援用運輸集団)の大型船だった。ガーディアンなどが報じた。
パナマ運河とは、パナマ共和国のパナマ地峡を横断して大西洋と太平洋を結ぶ運河で1914年に開通。全長は約80キロ、約9時間かけて通過する。これまでは閘門(こうもん)という水面を昇降させるシステムを使って船を通過させてきたが、長さ294.1メートル、幅 32.3メートルまでの船にしか対応できず、船舶の大型化が進むにつれて通過できない船が増加していた。
2007年からより約54億ドル(約5500億円)かけて大型の閘門を建設する工事が始まり、新しい閘門では長さ366メートル、幅49メートルまでの大型船に対応できるようになった。
パナマ運河は、エジプトのスエズ運河を建設したレセップスが掘削を試みて失敗し、その後アメリカが建設。当初の運河条約で運河の両側5マイル(約8キロ)のパナマ運河地帯は事実上アメリカ領土となった。1968年の軍事クーデターで実権を握ったトリホス将軍が条約改定交渉を行い、1977年の新パナマ運河条約で運河はパナマに返還されることになった。
1981年にトリホス将軍が航空機事故で死亡し、軍司令官のノリエガ将軍が軍政を敷いたが、アメリカは1989年に軍事侵攻し、ノリエガ将軍を麻薬密輸の容疑で逮捕した。1999年にはパナマ運河が返還され、駐留していたアメリカ軍も全面撤退した。