パナソニックがスマホ事業を撤退すると、8月6日、一部で報道された。NTTドコモ向けの製品供給を止め、法人向け、海外向けのスマホと従来型携帯電話にシフトするという。
パナソニックのスマホは、ドコモが事実上の唯一の供給先。今冬モデルの供給見送りに伴い、新製品の開発は縮小する見込みだ。
個人向けのスマホを生産するマレーシアの工場では当面、現行モデルの生産を継続するが、ドコモからの受注がなくなれば生産を停止する方向。NECと同様、パナソニックは個人向けスマホから撤退する可能性がある。
(MSN産経ニュース「パナソニック、個人向けスマホ撤退も ドコモへ供給見送り」より 2013/08/06 07:12)
報道に対してパナソニックは直接、否定も肯定もしなかった。
「従来から公表しているように、厳しい状況であるのは事実で、事業戦略を再構築した上で、改めて発表する」とコメントした。
(ケータイ Watch「パナソニック、スマホ撤退報道に「議論があるのは事実」」より 2013/08/06 12:44)
パナソニックは、2012年度で7,721億円、2013年3月期は7,542億円と巨額の赤字を出しており、経営の見直しが進められてきたが、津賀一宏社長は今年3月、「事業撤退という安易な選択は取らない」と明言している。
赤字の止血についてだが、事業から撤退して止めるというのは、ほんとうに最後の判断。いろんな意味において、まずい状況が撤退ということ。今日、テレビについては、2015年度に赤字を解消するという話をした。単に撤退だけしたら赤字は消える。そうではなく、なんとか事業を継続しながら、赤字を消すという決意。携帯電話についても同じ。事業撤退という安易な選択は採らない。ただ、赤字の垂れ流しは止めるということは明確に表明する。
(東洋経済オンライン「パナソニック津賀社長、“赤字撲滅”を宣言」より 2013/03/28)
しかし、2013年度に入ってからもスマホ部門の赤字幅は改善せず、具体策を打ち出す方針を明らかにしていた。
「パナソニック」は、ことし4月から6月までの3か月間の決算で、携帯電話事業が54億円の営業赤字に陥り、収益の改善に向けて、近く、具体策を打ち出すことを明らかにしました。
パナソニックが31日発表した、ことし4月から6月までの3か月間の決算によりますと、コストの削減効果などによって、本業のもうけを示す営業利益が、前の年の同じ時期より66%増えました。
しかし、スマートフォンなどの携帯電話の事業は、売り上げが13%減って、54億円の営業赤字に陥りました。
(NHKニュース「パナソニック 携帯事業赤字」より 2013/07/31 19:40)
同じ会見の席で、法人向けや落下や衝撃に強いモデルといった次の戦略についても示唆している。
スマートフォンの苦戦が続く携帯電話については「厳しい状況だが、継続していきたいと考えている。ただし、続けていくには独自の強みを出していかなければいけない。BtoB向け製品の展開や、PCでも取り組んでいる頑強な設計のモデルの投入など、現在戦略を練っているところ」
(CNET Japan「パナソニック、ソーラーや車載用電池好調で増益--デジカメ、スマホは新展開を模索」より 2013/07/31 20:04)
■撤退の背景にはアップル・サムスンの黒船勢とドコモの「ツートップ戦略」
なお、7月31日にはNECがスマホ事業からの撤退を発表している。
国内メーカーの苦戦の背景には、アップル、サムスンの二強に圧倒されたことだけでなく、NTTドコモがサムスンとソニーの二社のモデルを中心的にマーケティングする「ツートップ戦略」が響いたという意見もある。
NECのスマートフォン(高機能携帯電話)からの撤退は、国内携帯電話メーカーの苦境を浮き彫りにした。NTTドコモが人気の2社のモデルに販売費を集中させる「ツートップ戦略」が、大きな打撃になった。だが、NECに限らず、日本勢は国内市場偏重から脱却できず、米アップルや韓国サムスン電子といった2強との海外市場での競争に後れを取っている。好材料はなく、反撃へ向けた戦略も見えてこない。
(MSN産経ニュース「NECスマホ撤退 世界戦略後手…苦境に立つ「日の丸陣営」」より 2013/07/31 21:44)
※国内の携帯電話メーカーの苦境について、みなさんはどう思いますか?