パキスタンでもっとも宗教的な神学校の内側「卒業生の多くがビンラディンを崇拝」

イスラム過激派が2014年12月に学校を襲撃して生徒ら150人近くが殺害されるなど、混乱を深めるパキスタン。そのパキスタンでもっとも宗教的な神学校(マドラサ)の壁の内側で何が行われているかは、ほとんど人に知られていない。
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イスラム過激派が2014年12月に学校を襲撃して生徒ら150人近くが殺害されるなど、混乱を深めるパキスタン。そのパキスタンでもっとも宗教的なイスラム教の神学校(マドラサ)の壁の内側で何が行われているかは、ほとんど人に知られていない。しかし、今回、BBCのジャーナリスト、モービン・アズハル氏がその内部へと立ち入った。彼はハフポストUS版に対し、彼が「パキスタンのアラブ化」と呼ぶ状況について明らかにした。

首都イスラマバードにある悪名高い神学校ラール・マスジド(「赤いモスク」の意)に到着した時、アズハル氏にはある考えがあった。訪問者のようにふるまい、ゆっくりと信頼関係を築く。彼は、BBCのジャーナリストであることを「比較的はっきり」とさせたことで、神学校側は「学校の教育内容に共感」しているらしい人間と接触する機会を得たことを「喜んでいた」と感じている。アズハル氏はハフポストライブ司会者に対し、1月28日にこう伝えた。

しかし、やがてアズハル氏は、パキスタンの伝統にのっとった「より穏やか」なイスラム教を教える代わりに、ラール・マスジドではイスラム教ワッハーブ派が教えられていることに気付いた。これは、サウジアラビアからくる、イスラム教の中でもずっと社会的に保守的な宗派である。

「最近では多くの人がよりアラブ化しています」と彼は語った。「例えば、パキスタンで道を歩いていると、人々がアラブ人の服装をしているのを目にします。多くの人が伝統的なパキスタン人としてのアイデンティティーを否定しており、アイデンティティーの危機に直面しているように思います。また、サウジアラビア通貨が流入しており、その影響も軽視できないと考えています」。

この保守的な動きは「非常に問題性の高い」結果を招くものであり、この学校の卒業生の多くが極端に宗教的な右派政党に入ったり、あるいは反政府武装組織パキスタン・ターリバーン運動の主要メンバーになったりする者もいるとアズハル氏は説明した。

「こういった特定の学校から卒業した者の多くは、例えば(国際テロ組織アルカイダの元指導者)オサマ・ビンラディンを崇拝するなど、許しがたい道をたどっています」とアズハル氏は語る。「ですから非常に大きな問題ですし、規制は絶対に必要です」。

このラール・マスジドでは2007年7月、神学生らと治安部隊との間で銃撃戦が発生、その後モスクに人質を取って立てこもる事件があった。治安部隊が制圧するまで1週間かかり、市民も含めて40人以上の死者が出た。

ラール・マスジドを運営する宗教指導者は1980年代、アフガニスタンに侵攻したソ連軍とのジハード(聖戦)に参加。2005年にはロンドン同時テロに関係した疑いも指摘された。

アフガニスタンと国境を接している世界の紛争地の一つ、パキスタン。ラール・マスジドでは約4000人が学ぶのだが、男女は完全に分離されており敷地内で出会うことはない。通学期間は数カ月~8年間で、8年の全課程を終えた学生の多くはイマーム(指導者)になるという。

マドラサはパキスタンに1万校以上ある。一部は過激な内容を教え、「テロの温床」とも批判されている。

この記事はハフポストUS版に掲載されたものを翻訳、加筆しました。

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