恋愛をするもしないも自由。恋愛至上主義じゃなくてもいい。でも、恋愛をしたくても出会いが少なくて難しい、という人もいる。
「地方に住んでるし、職場も男性ばかりで出会いがない」「仕事で会うのは年上の既婚者ばかり」
そんな「恋愛がしたいけど出会いがない……」とあきらめに似た思いを持ちながら、「でも、恋愛したくないわけじゃない」というカツヒロさんとアイコさんが、もう一度恋愛に向き合ってみた。
カツヒロさん「田舎に住んでるし、職場も9割男性です」
「恋愛はしたいけど、もう半分あきらめてますね……」
そう話すカツヒロさんは、千葉県の東部に住む30代男性。水道工事など請け負う住宅関連の会社に勤めている。職場は9割近くが男性で、出会いがないと言う。
「恋愛って言っても、何をしたらいいか分からないんですよね。千葉県でも都内寄りじゃないので、車移動が基本。電車も1時間に一本みたいな田舎です」
恋愛は5年のブランクがあり、最近はあきらめの気持ちが強かったそうだ。しかし、去年入院をした時、「恋愛したいな」という気持ちが強まったと言う。
「入院していると、お見舞いに来る人がいなくて。隣で毎日のように家族がお見舞いに来ているのを見て、いいなあと正直思ってしまって……」
婚活パーティーに参加することもあったが、住んでいる地域では、男女15人ずつ募集していたパーティーに男女3人ずつしか集まらなかったこともあったそうだ。
「人見知りで自分に自信がないので、パーティーで5分間話してください、と言われてもなかなか難しくて。年齢的に周りがほとんど結婚してしまって遊び相手もいなくなっていって、孤独ですね」
マッチングアプリは「東京の人しかいない」と思っていた
千葉県、と聞くと「東京の近くじゃないか」と思う人も多いだろうが、カツヒロさんが住んでいる東部は茨城の方が近く、都内まで出るのに電車で約3時間かかる。マッチングアプリで出会える幅が広がったとしても、「東京の人しかいないだろう」と思っていたとカツヒロさんは話す。
「自分の見た目にも自信がないので、アプリに顔写真をあげるのも抵抗がありました。マッチングしてくれる人なんていないだろうなと思っていましたね」
しかし、マッチングアプリ「ペアーズ」を使ってみて2週間。最初は慣れないことも多かったが、2人の女性とアプリ上でマッチングしたそうだ。
「マッチングアプリって、イケメンで収入高くないと無理だと思ってたんで、正直驚きました。こんな自分でもマッチングできるんだ、と少しホッとした気分にもなりました」
ネックだと思っていた「東京から遠い」という場所の問題を伝えても、相手から「中間点に行きましょうか」と提案してくれたそうだ。共通で「ラーメンコミュニティ」に入っていたため、食の好みについてなどアプリ上でメッセージのやり取りを重ね、そのうちの1人とは会う約束をしたとにこやかに話した。
「人見知りなので、会う前にメッセージでコミュニケーションできるのはいいですね。初対面でいきなり話すよりもハードルが下がる気がします」
アイコさん「1人で生きていけそうと言われちゃう」
「恋愛したくないの?って周りによく聞かれちゃうんですけど、恋愛したいですよ」
アイコさんは都内で社長秘書として働く30代の女性。仕事で会うのは他社の代表や役員など既婚者や年配の方が多く、出会いがないと言う。
「前職はブライダルのドレスショップで働いていて、女性が9割、休みも土日じゃなかったので、そこも出会いが少ない環境でした。転職して、男性の割合も前より高いし土日休みだったので、少しだけ期待もしていたんですが……」
いい人がいれば恋愛はしたいし、結婚もしたい。そう思っていても、周りからは「恋愛に興味ないの?」と聞かれるそうだ。物事をハッキリ言う性格で、何でも一人でやってしまうので、「一人で生きていけそう」と思われてしまうことが多いと話す。
「でも、私もできないことはたくさんあるし、一人でやるしかなかったからできるようになっちゃっただけ……別に一人が良いわけではないんですよね」
マッチングアプリに不信感がありました
最近、「死ぬ時に一人は嫌だな」と不意に思う瞬間があった。とはいえ、これまで「街コン」や「マッチングアプリ」など、いわゆる「婚活」と呼ばれるようなことはやったことがなく、「仲のいい友人に時々人を紹介してもらうぐらい」だそうだ。
「そもそもマッチングアプリには不信感があって……。どれぐらいみんな正直にやっているんだろうと思っていました」
そんなアイコさんに、今回マッチングアプリ「ペアーズ」を使ってもらった。登録して2週間、最初は使い方もプロフィール文もどうすれば良いか分からない中、試行錯誤しながらアプリ上でコミュニケーションをとったと言う。
「顔が分かった方が安心感があるので、まずは写真に顔がちゃんと写っている人に“いいね”をしました」
実際に2人の男性に会ったそうだ。1人は「ポカポカ鍋」という同じコミュニティに入っていたことがきっかけで、一緒にもつ鍋を食べに行ったと話す。
「プロフィール文も自分のことがしっかり書いてあって、面白そうだなと思って会うことを決めました。実際に会ってみたら、想像よりいい人で驚きましたね」
2人目に会った人は、プロフィールが「離婚歴があるけどなんでも聞いてほしい」とオープンな印象だったこと、“わたしの大切な価値観”の欄に「明るくて裏表がない人が魅力的です」と書かれていたのを見て、会ってみようと思ったと言う。
「そうやってオープンに書いてくれている人の方が信頼できるし、話してみたいなと思いました。実際に会ってみたら仕事で自分と似たような経験があって話が弾みました」
一方で、「変な人もいた」と話す。マッチング後、すぐに「LINEでやり取りしませんか?」と言われLINEを教えたところ、「自分がやっている会員限定のサイトがあるから、メールアドレスを登録してくれ」とメッセージが来た。メールアドレスを登録すると、不審な出会い系サイトからメールが大量に来るようになったと言う。※1
「出会うまでのやり取りは、アプリ上でやったほうが安心ですね。どの出会い方でも変な人はいるけど、自衛策を取るのも大事です」
行動しなきゃダメだと思った
これまで「恋愛がしたい」と思いながら、「何をすればいいかイマイチ分からない」と話していたアイコさんは、今回マッチングアプリを使ってみて少しだけ心境に変化があったと言う。
「やっぱり、口を開けて待っているだけじゃダメだな、と思いました。自分からも行動しないと、という気持ちになりましたね」
とはいえ、「焦る気持ちはない」と話す。アイコさんは前職がブライダル関係だったため、たくさんの結婚式を見てきた。だからこそ、「結婚だけでもどうにかしたい」という気持ちにはならないという。
「結婚がゴールになってしまっているご夫婦をたくさん見てきましたから、それは違うな、と思いますね」
そんなアイコさんにも、忘れられない結婚式があるという。それは、前職の元上司の結婚式。50歳を過ぎて初婚だったという2人の結婚式は、とても意味のあるものに感じたそうだ。
「幸せの噛み締め方が全然違ったんです。その時から、結婚したいというより、信頼できるパートナーと一緒に生きていきたい、という気持ちを強く持つようになりましたね」
「出会いがない」という人に必要なこと
恋愛したいのに、職場の環境や住んでいる場所など、様々な理由で「出会いが少ない」。そう話した2人に共通していたのは、「恋愛したいという気持ちはあるけれど、どう行動すればいいかわからない」ということだった。
そして、今回の企画を通して行動してみたことで、カツヒロさんは「こんな自分でもマッチングできるんだ」と前向きな気持ちに、アイコさんは「自分から行動しないとダメなんだとわかった」と、それぞれに心境の変化があった。
もちろん、恋愛をしない選択肢も、結婚をしない選択肢も尊重されるべきだ。だが、もし少しでも「恋愛がしたい」という気持ちがありながら、どうすればいいのか分からない時には、合コンや街コンと同じように、マッチングアプリもいい機会の一つになるかもしれない。
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※1 ペアーズでは「パートナーを探す」目的以外での利用は禁じられています。