太平洋クロマグロが絶滅危惧種に IUCNのレッドリストに掲載

「国際自然保護連合」(IUCN)は11月17日、生物の絶滅の恐れがある野生動物を評価した「レッドリスト」の最新版を発表し、寿司などに使われる太平洋クロマグロを絶滅危惧種として掲載した。
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Whitepointer via Getty Images

政府機関や科学者らで作る「国際自然保護連合」(IUCN)は11月17日、生物の絶滅の恐れがある野生動物を評価した「レッドリスト」の最新版を発表し、寿司などに使われる太平洋クロマグロを絶滅危惧種として掲載した。他にも、アメリカウナギやカラスフグも絶滅危惧種とした。朝日新聞デジタルなどが報じた。

太平洋クロマグロは、「軽度懸念」から「絶滅危惧2類」へと移った。「絶滅の危険が増大している」との意味だ。すしや刺し身としてアジアで高い人気があり、メキシコなどが漁獲を増やし多くを日本へ輸出している。IUCNは、過去22年で個体数が33~19%減少したと推定。ほとんど幼魚で漁獲されていることから、再繁殖の機会が奪われているとしている。

太平洋クロマグロが絶滅危惧種に アメリカウナギなども:朝日新聞デジタル 2014/11/17 13:59)

直ちに太平洋クロマグロの食用や売買が制限されることはないが、IUCNのレッドリストは絶滅の恐れのある野生動植物の国際取引を規制するワシントン条約の対象種を決める判断材料となる。ブルース・コレット・マグロ類専門家グループ部会長は発表文で「(日本が主な漁場とする)中西部太平洋で保護を進めなければ、短期的な状況の改善は望めない」と警告した

毎日新聞によると、日本国内で流通しているのは他にも、大西洋クロマグロ、ミナミマグロ、メバチ、キハダ、ビンナガがあり、マグロ全体の価格への影響は限定的と見られるという。

水産庁によると、太平洋クロマグロは乱獲などが原因で減少し、2012年の親魚の量は約2.6万トンと、過去最低だった1984年の約1.9万トンの水準に近い。一方、大西洋クロマグロは漁獲を規制した結果、資源が回復傾向にある。

資源管理では、太平洋クロマグロを扱う「中西部太平洋マグロ類委員会」の小委員会が9月、重さ30キロ未満の未成魚の漁獲量を02〜04年平均から半減することで合意。2015年から適用され、日本などは資源回復のために本腰を入れる。

クロマグロ:「食べられなくなるの!」絶滅危惧種指定 - 毎日新聞 2014/11/17 12:24)

また、IUCNは、6月に絶滅危惧種に指定されたニホンウナギの代用として日本に輸入されているアメリカウナギもニホンウナギと同様に「絶滅危惧1B類」に指定し、高級魚トラフグの代用品として流通しているカラスフグも「乱獲により過去40年で99.99%減った」として、絶滅リスクの最も高い「絶滅危惧1A類」に分類した

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