こんにちは。フリーランス編集者のアミケンと申します。
シックス・アパートの壽さんと一緒に「オウンドメディア勉強会」の幹事をやらせてもらっています。
オウンドメディア勉強会は2014年の春にスタートし、これまで23回開催してきました(2016年8月時点)。当初はたった3社(3メディア)で寄り集まった小規模な勉強会でしたが、おかげさまで回を重ねるごとにクチコミが広がり、現在はメンバー数も200名を超えるようになりました。
オウンドメディア担当者のよくある悩み
勉強会に参加したメンバーからご相談いただくことで、特に多いのは「メディア編集経験がなく、どう企画・運営したらいいのかわからない」「我流で、手探りやってきたので自信がもてない」「担当者は私だけ。上司も編集経験がないので誰に聞いたらいいのか困っている」「ライターさんからトンデモない原稿があがってきた時、どうフィードバックしたらいいのか」...etc といったご意見です。
自社運営のオウンドメディアとはいえ、いや、むしろ会社の看板を背負ったオウンドメディアだからこそ、きちんとした情報を、きちんとした見せ方で、ターゲット読者にお届けしたいと思うのは、担当者としてごく自然なことだとお察しします。
担当「編集ってどうやれば...」上司「うっ......」
オウンドメディアの担当者に就く方のバックグランドはさまざまです。
自社Webサイトの更新担当やデザイナー、広報担当、マーケティング担当、プロダクト担当、カスタマーリレーション担当、ECサイト担当、メルマガ担当などなど。Webメディアの編集経験がある人の方が少数派といって良いでしょう。
最近は、オウンドメディアの作り方や制作・運用ガイド的な書籍もたくさん書店に並ぶようになってきました。コンテンツマーケティングの入門書・教科書的な良書もたくさんあります。ただ「編集」について触れられているのは、ほんの数ページだったりするのが現状です。編集者には編集者としてのスペシャリティがあり、オウンドメディア担当者の上司さんが思っている以上に、編集者の仕事は奥が深いものなのです。
いまこそ知ってほしい『編集十訓』
編集担当になったからには、様々なノウハウやテクニックも必要ですが、基本的な行動指針となる『心得』的なものがあった方が良いですよね。
前書きが長くなってしまいましたが、今回は私も指針にしている『編集十訓』をシェアさせていただきます。
--- 編集十訓 ---
01:編集者は、当然に一流のビジネスマンでなければならない。社会を広くかつ深く理解し、自己研鑚と視野の拡大に務めよ。
02:社会のリーダーである読者の共感を得られてこそ真に価値あるコンテンツとなる。常に読者の立場に立つと同時に、その半歩先を行くことを心掛けよ。
03:編集者の使命は、読者から信頼されるコンテンツを提供することである。著作権の侵害はもとより、虚偽および事実の歪曲は絶対にこれ戒めよ。
04:コンテンツは、企画が生命である。常に時代の動向を読み、社会の現実に密着した読者ニーズの発掘に努めよ。
05:企画の実現は、編集者にとって絶対である。決定した企画は、万難を排して100%の実現に全力を尽くせ。
06:優れた企画にするかどうか、その成否は最適な著者の発掘にかかっている。著者のすぐれて得意な分野を引き出して企画の意図を全うせよ。
07:コンテンツは真理眼で創るものである。現実を正確に把握し、時流に惑わされることなく真理を見抜く眼を養え。
08:リリース計画の厳守は、編集者に不可欠の条件である。リリースの遅れが、諸悪の根源であることを銘記せよ。
09:コンテンツの真価を発揮させる最後の機会は校正にある。ミスはなくて当然、の考えになりきって校正に当たれ。
10:できあがったコンテンツが、編集者にとってはすべてである。一切の弁解や言訳は通用しないことを銘記せよ。
上記の『編集十訓』は、私が尊敬する超ベテラン書籍編集者の方から伝え聞いたものを、Webメディア用にアレンジしたものです。おそらく大元になっているものは20年以上前にまとめられたのではないかと思います。もしかしたら昭和時代に生まれたのかもしれません。しかしながら、今見ても、まったく色褪せることなく「そうですよね」と納得できる内容ではないでしょうか。
オウンドメディアは、自社運営ゆえについスケジュール進行がゆるみがちです。逆に「月○本掲載する」ことが目的化してしまって、本当にリリースすべきコンテンツになっているか、意義が問われるケースも多々みられます。そうした時に「編集十訓」を見返していただければ幸いです。
上司の方におかれましては、オウンドメディア担当者の部下を査定する際に、結果(PVやコンバージョン数)だけでなく、その姿勢やこだわり、編集者としての成長プロセスもぜひ評価してもらえればと思います。
次回は、上司はオウンドメディア担当者をどう評価すべき?についてお話したいと思います。それではまた!