都民ファーストの会・音喜多駿氏らが離党届 「ブラックボックスそのもの」と小池知事らを批判

上田令子氏は「政調会長に『質問してはいけない』と言われた」と執行部を非難した。
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「都民ファーストの会」に離党届を提出し、記者会見する音喜多駿都議(左)と上田令子都議=5日午後、都庁 撮影日:2017年10月05日
時事通信社

小池百合子都知事が特別顧問を務める地域政党「都民ファーストの会」所属の音喜多駿都議と上田令子都議が10月5日午後に記者会見し、同会の離党届を提出したと発表した。

音喜多氏と上田氏は現在2期目。2016年の都知事選でいち早く小池氏の支援を表明し「都民ファーストの会」として小池都政を支持してしてきたが、9月に党新代表に小池氏元秘書の荒木千陽都議が選出された際、小池氏ら党役員3人だけで決めたことなどを問題視していた。

「都民ファーストの会」所属都議の離党は、1月の結党以来初めて。10月の衆院選では「希望の党」を率いて国政進出を狙う小池氏にとっては、足下がぐらついている印象を有権者に与えそうだ。

この日の会見で音喜多氏と上田氏は、情報公開や内部統制の問題点を例示しながら、「都民ファーストの会がブラックボックス化している」と暴露し執行部を批判。また、小池氏が結成した「希望の党」や小池知事自身の政治姿勢に疑念を呈した。

■音喜多氏「都民ファーストはブラックボックスそのもの」

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「都民ファーストの会」に離党届を提出し、記者会見する音喜多駿都議=5日午後、都庁 撮影日:2017年10月05日
時事通信社

音喜多氏は離党理由について、「『都民ファーストの会』のガバナンス、とりわけ情報公開の不徹底」「国政政党『希望の党』への抵抗感」「小池知事の都政に対する姿勢への疑問」を挙げた。

「都民ファーストの会」の運営について、音喜多氏は「我々が非難してきたブラックボックスそのものだ」と、党内民主主義が担保されていない現状を批判した。

「公約の一丁目一番地の情報公開が極めて不徹底。数度の代表交代の際に象徴されるように、55人の都議がいながら、密室でたった3名で決められた。いつ、どこで、誰が何を決めているかわからない。我々が非難してきたブラックボックスそのものだ」

「程度の差はあったが、言論統制、取材規制も行われた。私に関して言えば、ほとんどのメディアに出ることは事実上禁じられ、議員個人の自由な意見を述べることはできなかった」

「議員が自分の考えを外部に伝えるのは民主主義の極めて重要な役割の一つ。これを制限されれば都民有権者に十分な情報を伝えることはできません。政党としてやってはいけない致命的なガバナンスの欠如だ」

さらに音喜多氏は、今回の衆院選で「都民ファーストの会」が「希望の党」に選挙協力することについて、「情報公開という公約が甚だ未達成な状況」と強く批判した。

「新人が多く、まだ未熟な組織。制約が必要であるとは理解する。しかしながら、公約に掲げた情報公開が不十分なうちに国政政党の選挙に力を尽くすような状態は順番が逆であると思う」

「最近の総会では私が意義を発言した後にある役員に呼び出され全員の前で『あのような発言は慎むように。そういうことは裏で言ってくれ』と諌められたこともある。今の都民ファーストは、組織改革に後ろ向きだと判断せざるをえない」

また、小池知事が代表を務める「希望の党」については、「選挙目当ての野合のようにしか思えない」「私の政治家としての許容範囲を超えている」と強い言葉で非難した。

「詳細な公約も発表されないうちから右から左まで、思想・政策・理念も異なる政治家が200名近く集まっておられる。私には選挙目当ての野合のようにしか思えない」

「仮に私が都民ファーストの会に残れば、姉妹政党として無条件で、希望の党を応援しなければならなくなる。私の政治家としての許容範囲を超えている」

さらに音喜多氏は、小池知事の政治姿勢ついても疑念を呈した。

今の東京都には豊洲移転問題、オリンピック・パラリンピックと様々な課題が山積み。この状態で国政進出に手を伸ばすことが果たして正しいのでしょうか」

「なにより都知事自身が都議選の直後、代表を『都知事職に専念するから』と言って退任をされた」

「そこから期間を待たずして国政政党を立ち上げて、自らその代表に就任される。これは私はどうしても受け止めきることはできません」

その上で、音喜多氏は「都民がなにより望んでいることは、都政に専念する東京都知事」だとして、以下のように語った。

「いま都民がなにより望んでいることは、そうした都政を立て直し、都政に専念してくださる東京都知事の存在ではないでしょうか」

「足下の都民ファーストの会ですら、いまでも情報公開や、しがらみのない政治、この目標がまだまだ達成できておりません。そうした中で新しく立ち上げる『希望の党』が、それを達成できるとは私のはどうしても思えない」

「都知事には都民にお約束した情報公開をはじめとする政策を、まず都政から足下の『都民ファーストの会』から実現していただきたいと強く願う」

■上田氏「政調会長から『質問してはいけない』と言われた」

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「都民ファーストの会」に離党届を提出し、記者会見する上田令子都議=5日午後、都庁 撮影日:2017年10月05日
時事通信社

上田氏はかつて地域勢党『自由を守る会』代表を務め、小池知事が知事選に立候補を表明した際にはいち早く支援を表明した。なぜ離党を決断したのか。その理由について、こう語った。

「知事を応援をした地域政党『自由を守る会』は、所属議員がいたにも関わらず、再三再四にわたって『都民ファーストの会』から解散の要請をされ、この4月に解散をせざるを得なくなった」

さらに上田氏は、党内では情報公開がされず、二元代表制を軽視するような運営があったことを明かした。

「政調会長の方から、文書質問と委員会における公的な資料要求は、与党なのでしてはいけないと言われた」

「会派と人事についても事後報告だった。荒木代表のほか政調会長、事務総長の人事を報道で知った。それからメールで通達があった」

「議員の機能を自ら放棄することは、鳥にとっては羽を奪われて飛んでみろ、死ねと言われているのと同じこと。調査権を奪われているのであれば、古い都政・都議会を新しくすることはできないという決意に至った」

会見の中で上田氏は、党の資金集めの方法について疑問点を指摘した。

「各都議からは毎月、政務活動費15万円、党費6万円が徴収されている。毎月15万円、55人で1000万円近い政務活動費は血税。いくら払うのか、どういう契約なのかという説明もないのは、まさにブラックボックスと言わざるをえない」

「10月14日に『都民ファーストの会』の政治資金パーティーがある。1枚2万円、各議員の実績によるノルマも課されている」

「(上田氏の地元)江戸川区の平均収入は400万円。2万円のチケットの政治資金パーティーはしたこともない。誰に一体売るのかという思い。政治資金パーティーはかねてより企業団体献金、外国人献金の隠れ蓑との指摘もあり。そのあり方事態が問われなければならなかったはずだ」

上田氏は「水を飲む時には、井戸を掘った人を忘れてはならない」という言葉を用いて、党運営に疑念を呈した。

都民ファーストを離れる音喜多氏と上田氏は、あらたな会派「かがやけTokyo」を結成する。

■「都民ファーストの会」とは?

同会は1月に結成された東京の地域政党。当初の都議団メンバーは、2016年夏の都知事選で小池氏を支援した上田、音喜多両氏ら3人。音喜多氏は当初、幹事長だった。

その後、小池氏が代表に就き、7月の都議選で55議席を獲得、都議会の最大会派に躍進した。都議選後、小池知事は代表を退いた。現在は小池氏元秘書の荒木千陽都議が代表を務める。

今回の衆院選で「都民ファーストの会」は「希望の党」と政策協定を結び、選挙支援をおこなう。

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