ある日、BBC(英国放送協会)が提供するネットニュースを観ていた夫が、興奮しながら私にこう言いました。
納骨堂......。
想定外のワードに私はたじろぎました。
実は私は「納骨堂」という言葉は知っているものの、実際にそれを見たことがありません。
「確か、骨壺に入れた遺骨を安置しておく建物だったはず......」。
棺桶ごと土葬するのが通例であるスコットランドでは、火葬して遺骨のみを安置するスタイルはある意味斬新なのでしょう。
(英国内に火葬場は223カ所あるので、最近では火葬率が69%に達しています。遺族は火葬および集骨に立ち会うことはないし、火葬後の遺灰については何の法律もありません。遺灰は故人が指定した場所にまいてもよいし、海にまいても良いとされている)
しかし、夫が鼻息荒く伝えて来た「驚きの理由」はそこではありませんでした。
「日本は本当に土地がないんダネ! 遺骨をロッカーに収納することを思いつくなんて、天才デス! アレはまるで遺骨のマンションデス‼」
マンション......。
夫の非常識ではありますが言い得て妙な例えに、うっかり感銘を受けながらも、私は心の中で「必ずしも『土地がないから納骨堂を利用する』というワケではないのだよ......」と思ってました。
ですが、外国人には「日本=狭い」というイメージが定着してしまっているため、そう思われても仕方がないのかも知れません。
それにしても、なにゆえ日本の納骨堂がイギリスのネットニュースに流れたのか。そう不思議に思った私が、夫にたずねると――
と、見せられた映像が、
LEDライトでまばゆいばかりに光り輝く、ド派手な納骨堂でした。
さすがの私も、美しすぎるその光景に度肝を抜きました......。
この納骨堂に対し、夫は「保守的なイメージがある日本が、神聖な場所でこのようなチャレンジをしてくるとは思ってもいなかった」と感想を述べていましたが、そこには「スゴイ!」の中に「ちょっと残念」が入り混じった複雑な心境が読み取れました。
日本では「フィギア仏像」が置かれている「萌え寺」というものが存在しているそうですが、「寺や神社は神聖で荘厳な場所である」というイメージを持つ夫には、まだ伝える勇気がありません......。
余談ですが、「日本の葬儀のマナー」に関しても、夫が驚いたことがあります。
それは「香典」(通夜や告別式の不祝儀)です。
こちらでは、故人に花を送るのが一般的なので、現金を渡すというシステムには、激しく動揺しておりました。
(終わり)
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