11月22日に投開票が行われた大阪ダブル選挙。
府知事選・市長選ともに維新の会が次点に大差をつけて結果は大阪維新の会の勝利。
松井一郎知事が再選、吉村洋文氏が初当選という結果になりました。
世間の注目はすでに維新を率いる橋下徹氏の今後の去就に移っていますが、あらためてそれぞれの主要候補4名が行った選挙期間中のネット選挙の動きを振り返ってみましょう。
今回の選挙では、維新・反維新陣営ともにFacebookよりもTwitterによる発信が多かったため、Twitterでの集計を行いました。
主要4候補の「Twitterのツイート数」「ツイートをリツイートされた数※1」について、それぞれの告示日の府知事選は11/5・市長選は11/8から集計しました。
■選挙期間中のTwitterの動き
(※1 リツイート数は、100分の1に圧縮しています)
次に、Twitterでどのような言葉とともにつぶやかれているかを機械的に分析し、 その割合を「感情分析」として円グラフで表示する「Yahoo!リアルタイム検索」の結果も踏まえて各選挙ごとに詳細を見てみます。(敬称略)
(1)府知事選比較 くりはら氏がネット露出では勝利、松井氏はネガティブな感情が多かったのに...
くりはら貴子氏(非維新)は満遍なくネット上に露出しており、自らのツイート発信回数、フォロワーによるリツイート数は、松井氏(維新)よりも多い結果になりました。
Yahoo感情分析でも、くりはら氏は松井氏と比較してポジティブな捉え方をしている人が多かったにもかかわらず、ネガティブなコメントが多かった松井氏と100万票近い票差で敗れるという意外な結果に終わりました。
くりはら氏とダブルスコアの大差をつけて再選を果たした松井氏ですが、Yahoo感情分析ではネガティブな意見が多かったことは注目すべき点です。
ネット上で比較的には人気がなかった候補の圧勝という結果は、くりはら氏陣営のネット露出が多かったことからも、支持者(もしくは反維新)のネット利用者がネットを相手の批判運動手段として活用することも多かった可能性が挙げられます。
(2)市長選比較 吉村氏がツイート発信数・拡散数ともに勝利 柳本氏はネット上ではダントツ好印象の不思議
大阪市長として初当選を果たした吉村氏(維新)は、Twitterでの露出は主要候補中ではトップに。 吉村氏と柳本あきら氏(非維新)を比較すると、ツイート発信回数・フォロワーによるリツイート数は吉村氏が柳本氏の倍以上でした。
しかし、ここでも感情分析において不可解な結果が。 結果的に勝利できなかった柳本氏ですが、選挙期間を通じてポジティブな感情が対抗馬の吉村氏だけではなく、知事選のくりはら氏・松井氏と比較しても圧倒的に多かったことです。
選挙初日の「串かつ」ツイートでネット上では劣勢かと思いきや、ネットユーザーから最もポジティブ発言を獲得した候補者となりました。 マイナスを取り戻そうとした柳本氏陣営がネット上でポジティブな発言・支持を繰り広げのでしょうか?
両選挙からは、Twitter上でポジティブな話題が多いからといって、票に直接結びつくというものではないということが今回の選挙結果からわかりました。
■ネット選挙 日々の動き 選挙初日から最終日までのTwitter活用の動きを日ごとの推移で振り返ってみます。
ツイート数
リツイート数
ツイート数、リツイート数ともに選挙初日と終盤に大きな伸び 日々の発信力は維新が高く
選挙が最初と後半に盛り上がるのは一般的なことですが、このグラフから顕著な数字は吉村氏が折り返し・ラストサンデー(選挙中最後の日曜日)の15日以降に発信力を高めていること、くりはら氏が最後の2日間でツイートを桁違いに増やしていることが挙げられます。
16日のマスコミの中間報道で「維新先行」と報じられたこともあり、吉村氏陣営が追い風に乗ってさらに少しでも得票を増やそうとネットによる声の拡散を行ったようです。
くりはら氏は最後に追い込みを掛けたいとばかりに、テレビ番組の放送内容をスタッフが逐一ツイート、ツイート数・リツイート数の総計が他者3名と桁違い多くなりました。
しかし、くりはら氏の最後の2日間の数字を除くと日々のツイート数は松井氏の方が多く、また柳本氏と吉村氏も吉村氏の方が圧倒的に発信・拡散力が高かったことがグラフから伺えます。
比較総数ではくりはら氏の露出が多いように見えますが、日々のネット活動では、府知事選・市長選ともに維新の発信力が高かったという結果となりました。
(まとめ)
Yahoo感情分析では必ずしも維新にポジティブなものが多かったわけではありませんが、結果は、維新のTwitter発信力の高さと比例したと言えそうです。
ネット上で「ある候補」のついて書き込みを行う利用者がその候補の支持者ではない(対立陣営である)ことは多いにありえると思われます。
今回の維新のように、多くのTwitterフォロワーを得てリツイートなどで声を拡散していくことで票を固めることはもちろんのこと、今後はネットによる「対立陣営の動き」にも注意を払っていかねばならない時代になっているようです。