石油輸出国機構(OPEC)は、世界中で今後さらに何十年も、石油が使われ続けるだろうという予測を発表した。どうやら、自分たちにとって良い面にしか目を向けていないらしい。実際、OPECはその将来が希望に満ちたものだと考えているようで、2015年の世界石油展望(WOO)のレポートでは、「2040年に石油以外の燃料を使用している自動車は、わずか6%の乗用車と5.3%の商用車に過ぎないだろう」と述べている。電気自動車の普及を期待している人や、バイオ燃料を支持している人にとって、この数字は本当に残念なものだ。そして我々も、この予測には全く賛成できない。
OPECでは、電気自動車は価格が下がり性能も向上しつつあるが、日進月歩のガソリン車と競い合うにはまだ十分ではないと見ており、「バッテリーをはじめ電動自動車に使われている技術のコストは、この数十年でかなり(おそらく30~50%)低減し、それと同時にパフォーマンスも向上するだろう。しかし、バッテリー技術が飛躍的に進歩しない限り、プラグを差し込んで充電する電気自動車というコンセプトは、不便な点が多く需要が限定されるため、大衆に訴求できない可能性がある」と推測している。OPECは"不便な点が多く"について具体例を説明しなかったが、おそらく読者の皆さんなら思い当たる節があるだろう。
OPECはさらに、「飛躍的な技術革新なくして、バッテリー式電気自動車が近い将来、大きな市場シェアを占めることは期待できない」としている(こちらのPDFの12ページ)。しかし、これは昨年のWOOでOPECが述べた「純粋なプラグイン電気自動車は近い将来、大きな市場シェアを獲得できないだろう」(こちらのPDFの102ページ)という文言の使いまわしであり、目新しいものではない。
要するに、今後も長きにわたり化石燃料が運輸業の大部分を支配し続けるだろう、と予言しているわけだ。そんなOPECは、ガソリン使用を減少させる可能性のある唯一の非ガソリン技術は圧縮天然ガス(CNG)だと考えているが、その有効性については「大部分おいて未知数だ」と語るにとどめている。
2015年版世界石油展望(WOO)をご覧になりたい方は、こちらのインタラクティブ・バージョン(英語)をどうぞ。
翻訳:日本映像翻訳アカデミー
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(2015年12月27日 Autoblog日本版「「2040年になってもクルマの94%はまだ化石燃料で走っている」と、OPECが予測」より転載)
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