こんばんは、おときた駿@ブロガー都議会議員(北区選出)です。
本日(2016年7月11日)は増田寛也氏・宇都宮健児氏・小池百合子氏と、
「主要」と目される候補が次々と記者会見を行いました。
増田氏は予想通り、かつての自分の政治信条・政策との整合性をまったく説明できず、
饒舌に語るも極めて中途半端な内容で、全体的にかなり理解に苦しみました。
一方で三度目の出馬となる宇都宮氏のスタンスはブレず、
財源の裏付けやそもそもの方向性に個人的には疑問を覚えるものの、
都知事を目指す姿勢としては充分に理解できるものでした。
そんな中、やはり今日も際立っていたのは、この人。
自民党からの推薦を得るため(増田寛也氏を降ろすため)のチキン・レースを
仕掛けてると見る向きもありましたが、どうやらルビコン川を渡られたようです。
今日の記者会見は主に政策に関するものであったものの、
注目すべきはまたも出してきた1枚目のフリップの内容。
1点目の
「都政の透明化」
はまさにブラックボックスと化している都政・都議会に対する
宣戦布告に他なりませんが、果たして彼女が見ているのはそこだけなのでしょうか。
確かに、すでに名前も上がっている内田茂氏は大物です。
ですが、本当に彼「だけ」が都議会を牛耳っているドンなのか。
猪瀬氏が徳洲会事件で失脚した時のことを思い出してください。
すべての始まりは猪瀬氏が五輪組織委員会の会長人事において、
官邸主導で森喜朗氏の名前が取り沙汰された際に
「組織委は東京都とJOCで決める」
「森元首相の話はどこから出たか知らないが、全然議題に上がっていない」
と森喜朗氏の会長就任を全否定、トップに民間人を据えようと画策したことでした。
これが2013年9月~10月のことです。
これはまさしく、「オリンピック利権」に正面から切り込んだことに他なりません。
ほどなく徳洲会事件が表面化し、内田茂氏を中心とする都議会自民党によって
猪瀬氏は年末を待たずにスピード退陣することになりました。
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となれば実は小池百合子氏が切り込もうと思っている「本丸」は、
フリップ2点目の
「五輪関連 予算・運営の適正化」
ではないでしょうか。
新国立競技場を始めとして五輪関連の予算膨張は留まることを知らず、
すでに当初予算の数倍に及ぶ2兆円~3兆円規模とも報じられています。
様々な報道が飛び交う中、都議会議員にすらその実態は説明されていません。
にも関わらず、どこからか出てきた数字が突然「予算化」され、
億単位の事業がトントンと進んでいく。まさに最大の「ブラックボックス」です。
これで話は終わらない。3月22日平成28年度東京都予算特別委員会最終日前日の、自民党秋田一郎都議会議員のしめくくり総括質疑にて、大会組織委員会が負担することになっている仮設会場有明体操競技場について、突如として都が方針変更、大会後は都が引き取り、中小企業振興の一貫として展示場とし、4億8千万円を負担することが判明した。国民やマスコミが注目しやすい、オリンピック・パラリンピック予算ではなく、産業労働局予算「国際展示場の運営費等」約200億円の中にもぐりこませていたのだ。
引用元:「タダ貸し」の次は「肩代わり」?オリパラにどこまで注ぎ込む都民の血税?!(上田令子ブログ)
オリンピック・パラリンピックに象徴される利権構造と、
そしてこの利権を都議会にもたらしているのは果たして誰なのか。
これが明らかにされない限り、都政の闇が晴れることはありません。
まあぶっちゃけ、森喜朗さん(及びその周辺)だと思うんですけどね。←
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だからこそ私は以前から繰り返し、
東京都こそ開催都市としてプレゼンスを発揮し、
五輪組織委員会の刷新を主張するべきだと訴えてきました。
先週の記者会見で述べた「利権追求チーム」の対象には当然、
この五輪組織委員会も入っていると思いますし、彼女が知事となってこの問題に取り組めば、
都議会ならびに自民党が抱える利権の本丸が炙りだされる可能性があります。
もちろん、それには大きなリスクが有ります。
率直に言って小池知事が誕生すれば、少なくとも半年~1年は都議会が混乱・停滞すると思います。
そのコストに対して都民が理解を示すかどうか、判断が難しいところです。
ですが、だからといってこれまでの東京五輪への歩みや、議会運営はどうだったでしょうか。
順調どころか、どちらに関してもトラブルばかりしかありませんでした。
東京五輪は前述の予算膨張、国立競技場の白紙撤回、エンブレム選考やり直し…
そして何より議会については、自民党(と公明党)が推薦・支援をした知事が2代続けて
不祥事に塗れて失職した揺るぎない事実から、何かしら抜本的な改善が必要なことは明らかです。
今はまだ潤沢な財政に支えられて様々な問題が表面化していない都政・都議会ですが、
東京五輪をきっかけに様々な矛盾や綻びが露呈しつつあります。
このままの体制では、2020年東京大会を円満に迎えることは困難だと思いますし、
その後に「ギリシャ化・アテネ化」する可能性は非常に高いのではないでしょうか。
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2020年東京大会までもうあと4年、されど4年。
半年から1年の「足踏み」が生じても、ここですべての膿を吐き出しておくことに、
多くの都民は理解を示すように思えてなりません。
今日の各予定候補者の会見内容・公約と、
明日予定されている野党候補の動静を見ながら、
引き続き都民にとって最善の選択肢が示せる道を模索していきます。
それでは、また明日。
(2016年7月11日「おときた駿オフィシャルブログ」より転載)