いよいよ、ラグビーワールドカップ2019、
そして東京オリンピック2020に向けて、
都内待望の球技専用スタジアムの建設可能性について
仮称)隅田川スタジアム(ETUにするなら)
仮称)浅草スタジアム(外国の方にはこちらのほうがいいかも)
仮称)ミズベリースタジアム(こんな意見も出てました)
の建設計画を検討してみたいと思います。
「メイン施設を浅草周辺につくるのは、都市計画的見地からも有効」
候補地はここ、
台東区リバーサイドスポーツセンターです。
で、いきなりスタジアムの外観を考えるんじゃなくて、
検討を合理的に進めるためのシンプルな形状を与えてみます。
ガンバスタジアムとかもこっからスタートしていますよね。
実は、スタジアムは最終的にどんなに変わった形状にしようとも、
サッカーのピッチの大きさと形状が決まっているわけですから、
まず上記の配置がスタートラインなんです。
で、この平面計画をスタンド傾斜を考慮して3D化するとこうなります。
観客席の最初の部分です。
スタンドの段数は30段くらい
これで収容人員は1万8000から2万人くらいまでいけます。
とりあえず敷地に置いてみましょう。
おっ?
入らなくもない、むしろ入る。
ちょっと工夫が必要な感じしますね。
とりあえずFIFAが要求する4万人収容をクリアしたガンバスタジアムだとスタンドの規模はこんな感じです。
スタンドの幅40mと高さ30mの規模です。
で、これを多面体で覆うという作戦です。
ガンバスタジアムは非常によく考えられた設計デザインで、コンパクトでありながら必要条件を備え、なおかつ曲線や曲面を使わないことでコストダウンも実現しているんです。
何か妥協して丸いものが四角になったわけではなく、あらかじめ直線主体にデザインしてあることがよくわかります。
立体のエッジをカットしてアクセントにする手法は
かつて松田優作さんのCMが話題になった焼酎貴族トライアングルと同じようなコンセプトです。
「焼酎貴族登場 バイ キッコーマン」というコピーに聞き覚えがありませんか
一品モノの花瓶とかグラスならともかく、市場に大量に出回る市販品としては、ここまでのボトルデザインは価格との折り合いも配慮するなら日本のガラス製瓶技術の粋を集めて実現されたものなんですよ。
このボトルデザインはロングセラー「キッコーマンの醤油」でも有名な、榮久庵 憲司先生のGKデザインで手がけられたものなんです。
栄久庵先生は槇先生の新国立競技場問題に関するシンポジウムでもお目にかかりましたが、益々ご健勝のご様子でした。
デザインの存在意義というか価値というのは建築であろうが洋服であろうがプロダクト、自動車であろうが、本来このキッコーマンの醤油差しのようなものなんです。
つまり、機能要望と価格を考慮し、多くの人々がその価値を共有できて、末永く利用されながら、気づけば初めからそうであったような、しかし他のモノには代えがたい、親しみがあり、ずっと人々の記憶に残りながら、いつまでも新鮮であり、元の作者やデザイナーの恣意性が消えさてっているのに、名前すら忘れられているのに、誰が考えたかいつまでも記録に残る。
そういうものです。
建てる前から個人の思惑に凝り固まっって破綻した今の新国立競技場計画のようなものはデザインとはいいません。
ほかにスタンドの規模を比較できる資料がないか探しておりましたら、
6万人収容のアーセナルFCのエミレーツスタジアムの断面図が見つかりました。
RC構造主体の下部構造(青く塗ったところ)と鉄骨主体の上部構造(ピンクに塗ったところ)に分けられているこの構成も参考になりますね。
仮称)隅田川スタジアムは敷地と配置の関係からすると、ウェンブリースタジアムではなく、上記のスタジアムを参考に考えた方がよさそうです。
(2014年12月18日「建築エコノミスト 森山のブログ」より転載)