「タダ貸し」の次は「肩代わり」?オリパラにどこまで注ぎ込む都民の血税?!

都議会春場所第1回定例会が終わりました。

早いものでもうすぐ3月も終わろうとしていますね。先週末に都議会春場所第1回定例会が終わりました。

本定例会は、予算特別委員会で13兆円の巨大都政を、行政法に基づいてエビデンスで追い詰め動かすことに成功。無所属初当選以降紆余曲折しながらも、どの立場、どの環境にあっても地域課題最優先でぶれることなく実績を積み、ようやく自由闊達に議員活動ができた江戸川区議会議員一期目時代の地方議員の原点に帰れた感慨にふけっております。

区議時代から、歯に衣着せぬ物言いで議会活動してきたお姐ですが、法の精神に基づいて、言い訳無用のエビデンスを積み重ねてさえ行けば「上田議員の言うことは絶対実現させない」なんていわれてもあっさり真っ黒なオセロ盤をたった五分の議会発言で真っ白にすることが出来ます。

音喜多都議の発信力で都庁の問題を多くの都民と共有することが活性化にもつながる。議会は仲良しこよしの大同団結の場でもなく、対他会派ではなく、常に地域住民と一人の議員との一対一の場であるのだから。それを都議会でも実現できた定例会でした。

改めまして私に、議員の発言権の行使を自由にしてくれた、都議会会派かがやけTokyoの仲間、八王子選出の両角みのる都議会議員、北区選出の音喜多駿都議会議員に心より感謝申し上げます。

来年はいよいよ改選。三人とも勝ちあがって、また同じ会派で連動連携しながらそれぞれの自由な議会活動を認め合い都民益のために働きたいと心から願っております。

定例会を終えての、お姐によるかがやけTokyo幹事長談話はこちらとなっております。

また、幹事長談話とともに会期最後に、オリパラ仮設会場まで東京都が負担する話が急浮上し、各方面からお問い合わせを頂戴し、ネットメディア「アゴラ」に寄稿したものを転載いたしますので、併せてご一読ください。

「タダ貸し」の次は「肩代わり」?

~オリパラにどこまで注ぎ込む都民の血税?!~

新国立競技場の都負担は、結局395億円(周辺設備を含むと432億円)で昨年末合意に至った。多くの都民が、どことなく納得できずにいた矢先、今度は「都有地を国に無償貸与」所謂「タダ貸し」することが、東京都議会への報告より先にマスコミ報道となり騒然となった。

年が明けた1月19日、上田の所属するオリンピック・パラリンピック等推進対策特別委員会が開催され、都庁側から、無償貸与につき「報告事項」(知事による行政報告。これについて議会側は、疑義は質せても賛否は問えない。)として説明があった。都が無償貸与を現時点で予定している一覧はこちらである。

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そして東京都の説明はこちらだ。

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委員会質疑において、一体いつ無償貸与が決まったのか経緯を質したところ「招致段階で、IOCに対して組織委員会へ無償貸与を保証」「貸与するのは、国ではなく組織委員会とJSCだ」との答弁。ちなみに、JSCは招致段階では対象外。

知事が1月19日の定例会見で、「特別措置法(平成三十二年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会特別措置法のこと)の中で、国有財産を組織委員会または当該施設設置するものに対して無償で使用させることが出来るという、こういう無償使用の法令に基づく形で行いたい」と発言したことから、「特措法で都民の資産をタダ貸し?!」と質疑で確認したとところ、組織委員会に貸与する各公園は「行政財産」なことから、東京都行政財産使用料条例第5条にて使用料免除、JSCへ貸与するのは新国立競技場用地なので「普通財産」なことから、財産の交換、譲与、無償貸与等に関する条例4条にて、無償貸付となったことがわかった。

ややこしい。

続く上田質疑において、特別措置法のどこを当たっても都有財産は対象ではないことも明らかにし、積極的に都が無償貸与する法的義務はないことを確認した。つまり内閣判断で国有財産を無償貸与する根拠法はあるけれど、それは都に及ぶものではなく、今回の無償貸与は都が、都条例により、主体的判断で行ったということになる。

ただし、地方財政法第2条第2項には「国は、地方財政の自主的な且つ健全な運営を助長することに努め、いやしくもその自律性をそこない、又は地方公共団体に負担を転嫁するような施策を行つてはならない。」同法第12条には「国は、地方公共団体に対し、その経費を負担させるような措置をしてはならない。」とある。

つまり、「タダ貸しせよ」等、国は地方自治体に強制してはならぬということだ。上田としては「無償貸与」を安易に決めていく過程で、都民の持ち物である財産管理に差し障りが発生した場合、地方自治法242条にある財産管理を「怠る事実」に当りかねないかと危惧をしている。

当然、都は条例と法律に従い適正にやると回答するのだが、それは、タダ貸しありきの、法的後付けに見えて仕方がない。今後裁判が起きたら都は耐えられるだろうか。

これで話は終わらない。

3月22日平成28年度東京都予算特別委員会最終日前日の、自民党秋田一郎都議会議員のしめくくり総括質疑にて、大会組織委員会が負担することになっている仮設会場有明体操競技場について、突如として都が方針変更、大会後は都が引き取り、中小企業振興の一貫として展示場とし、4億8千万円を負担することが判明した。

国民やマスコミが注目しやすい、オリンピック・パラリンピック予算ではなく、産業労働局予算「国際展示場の運営費等」約200億円の中にもぐりこませていたのだ。

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用意周到に予算を作成する都庁官僚も、このタイミングで引き出す自民党も、なんと巧妙かつ狡猾なことか。貴重な血税や資産を、一体誰のものだと思っているのだろう。

「都有財産」=「都民の共有財産」

東京都のすべての財産(土地・建物・道路...etc)はすべて都民のものであり、都知事のものでも都庁官僚のものでも、ましてや当該施設や用地のある地元議員のものでもなければ、国の尻拭いのために上納するものでも、肩代わりするものでもない。

都の予算書は、細かい事業を明記していないので見つけ出すことが事実上不可能に近く、上田は予算書のあり方も会議の場で質して(文書質問趣意書)きた。

タダ貸しについても、地方自治法237条以下、原則無償貸与は禁止で、例外として条例または、議会の議決があって初めて認められるということであるから、まっとうな議員が、情報の非対称性にさらされない環境を整備して、チェックをしていかねばならないと、改めて気を引き締めている 。

(2016年3月29日「上田令子のお姐が行く!」より転載)