北アメリカで最も古いと思われる人類の足跡の化石が、アメリカ・ニューメキシコ州のホワイトサンズ国立公園で発見された。
足跡は約2万1000~2万3000年前のものだと考えられており、考古学者たちは「人類がこれまでに考えられていたよりずっと以前にアメリカに到達したことを示す証拠だ」としている。
マンモスなどと共存していた
化石を調査したのは、国立公園局やアメリカ地質調査所、ボーンマス大学、アリゾナ大学、コーネル大学の専門家たちだ。
足跡は、ホワイトサンズ国立公園のアルカリフラットと呼ばれる乾燥地にあり、同国立公園・資源管理官のデヴィッド・ブストス氏が最初に発見した。
足跡化石は乾いている時には見えないが、ブストス氏は地表が湿っている時に見つけたという。
2016年にこの足跡が人類のものであることが確認され、アメリカ地質調査所の研究者たちが、放射性炭素を使って化石の年代を調べていた。
そして地層に残されていた植物の種から、化石が2万1000~2万3000年前のものであることがわかった。
発見された足跡は、主に10代の若者や子どもたちのものだったが、一部大人と思われる足跡もあり、マンモスや巨大ナマケモノ、ダイアウルフ、鳥などの足跡も見つかったという。
ボーンマス大学のサリー・レイノルズ博士は、「人類が交流していたことがわかります。そしてマンモスや巨大ナマケモノなど絶滅した動物もいたことから、この場所で、人類と動物が共存していたと考えられます」と述べている。
北アメリカへの人類到達時期を解く手掛かりになるか
研究者たちは長年、人類がいつアメリカに到達したかを調べてきたが、この足跡化石は謎を解く重要な手がかりになるかもしれない。
人類が最初にアメリカに到達した時期については、様々な説がある。
ネイチャーによると、北アメリカ最古の石器文化であるクローヴィス文化などから、1万1000年~1万3000年前だという説が長年有力視されてきた。
その一方で、メキシコの洞窟で発見された遺跡による調査から、近年は約3万年前に人類が北アメリカに居住していたと主張する研究結果も発表されている。
今回の調査は、こうした新たな説を裏付けるものになる可能性がある。
国立公園局のダン・オデス博士は、「ホワイトサンズ国立公園の化石は、最終氷期極大期に人間がアメリカに存在していたということを示す、初の明確な証拠です。すべての遺跡発掘現場に、このようなはっきりとした証拠は残っているわけではありません」と述べている。
研究結果は学術誌「サイエンス」に9月23日に掲載された。