4月から公的医療の診療報酬が改定され、薬局に薬を買いにいく時に「おくすり手帳」を持参しないと、薬局に支払う金額が高くなる可能性がある。おくすり手帳とは何か?具体的にはどれくらい変わるのかをまとめた。
■おくすり手帳とは?
おくすり手帳とは、いつ、どこで、どんな薬を処方してもらったかを記録しておく手帳のこと。薬局で無料でもらえる。医師や薬剤師にこの手帳を見せて服薬状況を確認してもらうことで、薬の飲み合わせや、重複投与を防ぐ目的がある。余計な薬を減らす事にもなり、医療費の適正化にもつながる側面もあった。
しかし、この無料の手帳に「記録する」にはお金がかかり、現在は管理指導料として410円が診療報酬として加算され、患者は1〜3割を窓口で支払っている。
一方、お薬手帳がない場合の管理指導料は340円と、手帳を持っている場合よりも患者が支払う金額は安くなり、手帳を持たない人も出ていた。
■2016年4月からはおくすり手帳の有無で医療費が変わる
これでは、おくすり手帳で服薬管理をしたい国の意向と矛盾が生じる。このため2016年度の報酬改定では、手帳を持っている患者に対し、経済的なメリットを示した。具体的には、4月からの管理指導料を、おくすり手帳を持参した場合は380円に引き下げ、おくすり手帳がない場合は500円に引き上げたのだ。差額は120円。手帳の有無によって、1割負担であれば10円、3割負担であれば40円の差が生じることになる(四捨五入で10円単位で計算)。
厚生労働の担当者は3月4日の説明会で、「おくすり手帳を忘れ、その場で再発行をした場合にも50点(500円)としている」と述べた。ただし、既に手帳を持っている場合の運用については、「別の方法を別途紹介したい」などと話した。
■手帳を持っていても安くならない場合もある
注意したいのは、管理指導料が減額されるのは6カ月以内に同じ薬局で調剤を受けた場合のみという点。6カ月以上来局していない場合や、別の薬局で薬を処方された時の管理指導料は、380円ではなく500円となる。
また、大病院の前などにある、いわゆる大型門前薬局と呼ばれる薬局などでは、管理指導料は500円となる。複数の場所での薬の処方を、門前薬局ではなく地域の「かかりつけ薬局」に取りまとめることで、患者の普段の健康相談などの窓口を担ってもらったり、医療費を抑制したりする狙いがある。