米オクラホマ州オクラホマシティー付近で発生した巨大竜巻。その竜巻を生み出した巨大積乱雲「スーパーセル」の姿をアメリカ航空宇宙局(NASA)の地球観測衛星がとらえていた。
5月20日、NASAとアメリカ海洋大気庁(NOAA)の人工衛星は、米中西部で発生したスーパーセルを観測。その後、雷雨群は無数の竜巻をオクラホマシティー南郊の街ムーアに生み出した。
■宇宙から見た「最強レベル」の巨大竜巻
上の画像は、NASAの地球観測衛星「Aqua」に搭載されている放射計装置、MODIS(The Moderate Resolution Imaging Spectroradiometer)によって撮影されたスーパーセル。撮影時間は現地時間午後2時40分、ムーアに壊滅的な被害をもたらした巨大竜巻が発生する約15分前の画像だ。赤い線はスーパーセルから発生した巨大竜巻が、ムーアを直撃するまでに通った経路を示している。竜巻は午後3時36分、約32キロを移動した後に消滅した。
ムーアに巨大竜巻が到達し、壊滅的な被害をもたらしたのは5月20日月曜日の午後。竜巻のレベルを被害の大きさで測る「改良版藤田スケール (Enhanced Fujita scale)」でいう「incredible=信じられないほどの甚大な被害」をもたらす最強レベル「EF-5」に相当する。
鉄筋コンクリート造の強固な建物でも基礎しか残らないほどに破壊され、自動車大の物体も上空100メートルまで飛ばされるなど、信じられないような被害が出る。アメリカ国立気象局によると、この竜巻の最大瞬間風速は毎秒90メートル。これは、日本国内で記録された最大瞬間風速の毎秒85.3メートル(1966年9月5日、沖縄県宮古島で観測)よりも強い。
この竜巻で少なくとも24人が死亡、数百人が負傷した。犠牲者には竜巻の直撃を受けた小学校の児童7人など子ども9人も含まれているという。朝日新聞デジタルによると、
米オクラホマ州オクラホマシティー付近で20日に発生した大規模な竜巻被害で、オバマ大統領は21日、「必要なすべての支援をする。国民みんなで地元住民を支える」と演説し、被災地への援助を米国民に呼びかけた。また、同州を「大規模災害地域」に指定し、被災地への支援を命じた。【ニューヨーク=中井大助、真鍋弘樹】
(朝日新聞デジタル 2013年5月22日2時17分)
■猛烈な勢いで成長したスーパーセル
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