日本最南端の沖ノ鳥島(東京都)から150カイリ(約280キロ)の排他的経済水域(EEZ)内の海上で違法操業したとして、横浜海上保安部が4月25日に台湾の漁船を拿捕した。これに対し、台湾の馬英九総統は27日、「沖ノ鳥島は島ではなく『岩礁』でEEZを主張できない」との声明を出した。NHKニュースなどが伝えた。
今月25日、海上保安庁は、東京の沖ノ鳥島沖の排他的経済水域内で違法な操業をしていたとして台湾の漁船をだ捕しました。船長は担保金を支払うことを約束して釈放されましたが、台湾の漁業関係者や議員らが27日、日本の台湾との窓口機関「交流協会」が入る建物の前で抗議活動を行い、一部の参加者が建物に生卵を投げつけました。
今回のだ捕に関連して台湾の馬英九総統は27日、安全保障を担当する高官の会議を開くとともに、沖ノ鳥島について「岩であり、島ではない。日本が排他的経済水域を主張することはできない」とする声明を出したうえで、関係機関に台湾の漁船を保護するよう指示しました。
(台湾総統「沖ノ鳥島は岩」と声明 日本は抗議 | NHKニュースより 2016/04/28 14:28)
産経ニュースは「台湾は従来、日本への配慮から沖ノ鳥島を『島』か『岩』かは『定義しない』としてきたが、『岩』だとする中国や韓国と同様の立場に転換したとみられる」と報じた。ただし、台湾の外交部(外務省に相当)の報道官は26日、「従来の立場に変化はない」と述べるなど、政権内部で方針が統一されていない可能性もあるという。
岸田文雄外相は28日午前の記者会見で、馬総統のこの声明に対し、「交流協会」を通じて27日に抗議したと明らかにした。「沖ノ鳥島は国連海洋法上、島としての地位が確立している。台湾独自の主張は受け入れることができない」と批判した。
沖ノ鳥島(2005年)
関連記事