「彼らと私の何が違うのか」沖縄・高江で考えた。

「私だって、沖縄に基地を押し付けたくないんですよ」そう思っていながら、それをやめられないのだとしたら、私はあの機動隊員と何が違うのだろうか。

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「彼らと私の何が違うのか」

まだ陽射しが厳しい10月下旬、沖縄・高江に行って感じたのは、こんなことだった。

「彼ら」とは、ヘリパッド建設現場に入れ替わり立ち替わり現れる機動隊員のことだ。

練馬、品川、川崎、なにわ、福岡......沖縄県外のナンバーをつけた、高江の森に不似合いな警察車両が道に連なっている。

頃合いを見計らったように、機動隊員が座り込みをしている人々を排除しにかかる。最初こそ「立てる人は自分で立ってくださいね」と声をかけるが、間もなく強制的にその場から人々を移動させ始める。

「僕だって、こんなことしたくないんですよ」

嘘か本当か、ある機動隊員はそう言った。胸元のレシーバーのようなものに「大阪」の文字が見えた。

道路脇に追いやられた人々を機動隊員が取り囲む。目の前の道路を警察車両に先導されたダンプが砂塵を立てながら通り過ぎ、ゲートの中に消えていく。人々は、ダンプが(過積載であったり、改造されていたりする)違法車両であることを訴えるが、機動隊員は終始ダンプに背を向けたまま。目の前をダンプが何度も行き来する。しばらくすると、道の向こうから新たな機動隊員がやってきて、目の前の機動隊員と入れ替わった。

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「今、自分が見聞きしている現状を、どう伝えればいいのだろう」

本当にこの工事が必要なのか、なぜこんな方法なのか。理由を知りたかったが、眼前の機動隊員はみな口を閉ざしている。

ゲート前を離れると、そこは、生き物の鳴き声や草木のざわめきだけが聞こえる静かな森だった。ヘリパッド建設予定地が一望できるというビューポイントで、ほっと息をついたときに思い浮かんだのは「(工事を)年内に完了させる」と汗一つかかず、涼しい顔で話す政治家の顔。

「私だって、沖縄に基地を押し付けたくないんですよ」

そう思っていながら、それをやめられないのだとしたら、私はあの機動隊員と何が違うのだろうか。むしろ、汗にも砂埃にもまみれることなく、素知らぬ顔をしていられる政治家と自分は同じなのではないか。

吹き抜ける風で汗がひいていくのを感じながら、そう思った。

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