経済的自立を加速させる沖縄、シンガポール直行便の就航でアジアとの蜜月をますます深める

ジェットスター那覇-シンガポール便の背景にあるもの
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シンガポール線初便の搭乗客で混雑するジェットスター・アジア航空のチェックイン・カウンター=11月17日、沖縄県・那覇空港
JINHEE MASAHIRO LEE

沖縄を日本の辺境ではなく「アジアの要衝」と捉える機運が沖縄県で高まっている。

沖縄・那覇空港とシンガポールのチャンギ空港を結ぶジェットスター・アジア航空の直行便が11月17日、就航した。沖縄とシンガポールが初めて定期直行便で結ばれることになった。

県は、世界380都市と結ばれているチャンギ空港と直結することで、各国から沖縄に観光客を呼び込めると想定している。

那覇空港は17日午前、初便でシンガポールに向かう乗客と、就航を報道する関係者らでにぎわった。

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シンガポール線初便の搭乗口で記念撮影する乗客ら=11月17日、沖縄県・那覇空港
JINHEE MASAHIRO LEE
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報道陣の取材を受けるジェットスター・アジア航空シンガポール線初便の乗客=11月17日、沖縄県・那覇空港
JINHEE MASAHIRO LEE

就航に先立ち16日、ルイ・タックユー駐日シンガポール大使は沖縄県庁に翁長雄志知事を訪れ、「沖縄の可能性に期待している」と述べた。翁長知事は「日本とシンガポールの結節点として、互いにウィンウィンの交流を築ける」と話し、路線開通による交流拡大に意欲を見せた。琉球新報が報じた

■ アジア戦略の実現

沖縄県は2014年から、チャンギ空港グループと相互協力連携協定を結び、航空ネットワーク強化に向けて動き始めた。

翁長知事は15年、シンガポールに県事務所を開設。自身もジェットスター社を訪れるなどして直行便就航を要請してきた。県は同年、「アジア経済戦略構想」をまとめた。

2016年、知事は「アジア経済と連動することで活力を取り込み、自立型経済を発展させたい」と表明した。

翁長県政は一連の流れの中でアジア戦略を進めてきた。シンガポール直行便就航は、具体的な成果として注目に値する。

■ 日本全国から沖縄経由でシンガポールへ

那覇空港を発着する国際線は、台北、台中、ソウル、釜山、上海、北京、香港、高雄、天津、杭州、南京、大邱、バンコク、シンガポールの計14路線となった。

シンガポール路線は、週3便(月金日)の運行。那覇午前8時55分発、シンガポール午後1時15分着。シンガポール発午前1時50分発、那覇午前8時着。(いずれも現地時間)

片道運賃は1万200円からで、価格は予約状況などで変動する。

那覇発の初便の乗客数は147人だった。シンガポールを訪れる沖縄の乗客が大半で、シンガポールの乗客は5人だけだった。ジェットスター・アジア航空が明らかにした。

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ジェットスター・アジア航空、那覇発初便の操縦士と乗務員ら。沖縄からのシンガポール線利用を呼び掛けた=11月17日、シンガポール・チャンギ空港
JINHEE MASAHIRO LEE

初便を利用した沖縄県民は「週末に気軽にシンガポールに旅行するチャンスが広がり本当にうれしい。これまでは乗り継ぎで時間が掛かった」と、直行便就航を歓迎した。

翁長知事は、日本全国から沖縄を経由したシンガポールへの人や物の流れも生み出したいとしている。

■ アジアとの蜜月

シンガポール線開通に先立ち11月9〜13日、75人で構成する沖縄県の訪問団が中国・福建省を訪れ「友好県省」締結20周年記念式典に出席した。

翁長知事は、福建省の干偉国(う・いこく)書記兼省長らと面談し「次の20年を見据え、経済や文化で交流をさらに活発にしていこう」と話した。

24日は那覇市でも記念式典を開く。

11月は、着々と進む沖縄のアジアシフトを感じさせる1ヵ月となっている。