おじさんよ、「大使」を抱け――浦島花子が見た日本

23年間の海外生活中も日本には毎年のように帰国していたものの、お客さんでいる時には見えなかったものが住人になると見えてくる。今回は日本のおじさん達のびっくり言動に焦点を当ててみたい。
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前にも書いたが、23年間の海外生活中も日本には毎年のように帰国していたものの、お客さんでいる時には見えなかったものが住人になると見えてくる。今回は日本のおじさん達のびっくり言動に焦点を当ててみたい。

「男性バッシングか」と思う人もいるだろうから先に言っておくが、私には愛するおじさんが多数いる。連れ合いを始め、父と兄達、今も繋がりのある幼馴染みや高校、大学の同級生達、そして今まで一緒に働いた同僚達だ。他人をおじさんと呼ぶからには、私自身がおばさんであることは認知した上で話を進めるが、近頃私の愛するおじさん達を含むこの国でしたたかに生きる日本の男性が、ほんの一部の目立ちたがり屋のおじさん達の発言により侮辱されていることに黙ってはいられない。

まず1月にスカイマークが発表した「全席プレミアムシート」。その売り込みの一部として期間限定でCA(客員乗務員)に超ミニスカートのワンピースを着せるという。西久保愼一社長は「低価格」から「高品質」を狙うとあるインタビューで答えている。

「ミニスカートで高品質を」とは、ジョークと思っていたら本気の様子で驚かされた。そんな発想自体がスカイマークの全体イメージに低意識でチープなレッテルを貼るばかりか、「男はこんなのが好きだから」と男性を見下しているといっても過言ではないからだ。

そんなレベルの低いレッテルを貼られる男性は気の毒だと思う。きっと迷惑だと思っている男性もいるはずだ。また自分の愛する娘がこのCAの立場だったら不愉快に思わないだろうか。お客が男性のみの想定でしかないところも、スカイマークの問題点だろう。

こんな提案がアメリカの航空会社であったら大問題だ。まず労働組合から苦情が出るだけでなく、確実に起訴されるだろう。スカイマークのCA達も異議を申し立てないのか。日本は民主主義の国なのだから。いや、そう思っている私はまだまだナイーブなのだろうか。

次に、NHK会長の慰安婦問題発言に、「そうだそうだ慰安婦は必要だった」と勘違いな大阪市長は、そんな自分の安易な発想が日本と他の国との距離を広げ、今まで苦労して外交を行ってきた人達の努力を踏みにじっていることすら気付いていない。

彼が昨年5月に沖縄の普天間基地を訪問した際、米軍司令官に向かって「もっと風俗業を活用すべき」と進言したことを覚えている人も多いだろう。あの時期、ちょうどペンタゴンが米軍基地内での性暴力被害者支援と加害防止に積極的に乗り出したばかりだったため、会見した司令官にとってはこの上ない厄介な訪問者だったに違いない。自分の無知さをさらけ出し、周りの空気も読めずに嫌われる。アメリカでよくあるコメディーの1シーンのようだった。

そして上記男性陣の象徴のような舛添要一氏。ネット上では過去の舛添氏の言動から今日に至るまでをわかりやすく説明するフライヤーが出回り、女性蔑視発言を撤回し謝罪するよう求めるキャンペーンすら巻き起こっている。

彼の発言で最も話題を読んでいるのは、「女は生理のときはノーマルじゃない。異常です。そんなときに国政の重要な決定、戦争をやるかどうかなんてことを判断されてはたまらない」という1989年の発言だ。女性蔑視も去ることながら、舛添氏は戦争がしたいのだろうかいう点が、私には一番引っかかる。私の愛するおじさんやその子供達を戦争に送るなんて考えただけでもゾッとするからだ。

「あなたの言動で、日本人はこうだと思われたら、日本の人みんなが迷惑する。国外に出るのにはそんな責任がかかってくる」と1990年、18歳の私が渡米する前、今は亡き祖父が私に忠告してくれた。同じ言葉を上記のおじさんたちへ贈りたい。

スカイマークは国内線だし、橋下氏や舛添氏も海外で何をするということはないかもしれないが、世界は日本の動きをしっかり見ているのだ。この人達を見て、日本の男はこうなのかと思われては迷惑である。