新型コロナウイルスワクチンを接種してもらおうと、アメリカでは様々な州が知恵を絞るようになっている。
オハイオ州のマイク・デワイン知事は5月12日、ワクチンを接種した人の中から抽選で5人に100万ドル(約1億100万円)の賞金を出すと発表した。
対象となるのは18歳以上で、当選までにワクチンを接種している必要がある。
抽選対象者は州で公開されている有権者登録のデータベースから選ばれるが、「データベースに名前が記載されていない人は、ウェブサイトから抽選のために名前を登録できる」と知事は説明している。
<100万ドルの賞金を発表したデワイン知事>
18歳未満の人たちは100万ドル当選する資格はないものの、12〜17歳のワクチン接種者のうち抽選で5人に、州の公立大学の奨学金が付与される。奨学金は、学費や生活費、教科書代など大学にかかるほぼすべてをカバーするという。
この賞金や奨学金にかかる費用は、国のコロナウイルス救済資金でまかなわれる。
デワイン知事はTwitterで、このアイディアを批判する人もいるだろうとした上で、次のように説明した。
「『デワインは頭がおかしいんじゃないか!何百万ドルもかかる抽選はお金の無駄遣いだ!』と言う人もいるでしょう。しかしこのパンデミックで望む人すべてがワクチンを受けられるようになった現状で、本当の無駄とは新型コロナウイルスで失われる命です」
広がるワクチン接種インセンティブ
オハイオ州の決断の背景にあるのは、ワクチン需要の低迷だ。
テレビ局WOWK-TVは5月10日、ワクチンの需要が少なかったため、オハイオ州がこの週に国から支給される予定だったワクチンの約80%を断ったと報じた。
需要の低迷は他の州でも起きていて、ワクチン接種を促すインセンティブを考えなければいけなくなっている。
ウェストバージニア州は4月、ワクチンを接種した16〜35歳の人たちが、100ドル(約1万1000円)の貯蓄債券を受け取れるようにした。
メーン州では、ワクチンを接種してもらうために、ギフトカードや野球のチケット、狩猟許可証などを提供している。
またニュージャージー州では、21歳以上のワクチン接種者がブルワリーで無料でビールを1杯飲める「ショット&ビア」プログラムをスタートさせた。
デワイン知事は、6月2日までにオハイオ州の新型コロナウイルスに関連する規制すべてを解除するとしており、それまでに全ての人にワクチンを摂取するように求めた。
「規制を解除するからといって、ウイルスが消えたわけでも、私たちが安全だというわけでもありません」
「新型コロナウイルスに感染するリスクを冒すより、ワクチンを受ける方がはるかに安全だということは明らかです」