海に行かないから関係ない? そんなあなたも「海洋プラスチック問題」に関わっているかもしれない理由

【ごみゼロ日記:15日目】
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千葉一宮町で行われたビーチクリーン 子供もたくさん参加していた。

いきなりですが、問題です。

ペットボトルが海に流出した場合、完全に分解されるのに何年かかる?

a) 15年  b) 50年  c) 150年  d) 450年

 少し時間が必要?それならこちらの動画を見ながらお考えください。

 

さて、答えは...  d)の450年

そして、この動画は2018年にバリ沖で撮影されたもの。衝撃的。

この頃暑くなり、海が恋しくなる季節になってきた。
海水浴に行った海が、こんなだったらどうだろうか?

プラスチックは自然界では簡単に分解されないため、海洋を放浪し続ける。その為、なんと2050年には海洋プラスチックごみが魚の量を上回るかもしれない、という調査報告も出ているのだ。

という訳で、現場を見ようと(あと暑かったから)、週末に千葉の海に行ってきた。ちょうど大規模なビーチクリーンも開催されるとのことで、一緒に海岸でゴミ拾いもしてきた。

 

今回参加したビーチクリーンは、環境保全などにも力を入れているアパレルメーカーのVolcom、アウトドアウェアブランドのPatagoniaが主催。日本の老舗サーフボードメーカーであり地元サーフショップのCHP、そして環境保護団体JEAN協力のもとで開催されており、今回で11回目になるという。

 
まず、朝10時に集合場所のショップ前に集まり、一通りの説明を受け、みんなでビーチへ。

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海に続く小道にあったサイン。これ、基本。

すぐにビーチ到着。もちろんハワイのような真っ青な海に白い砂とはいかないが、ゴミの有無で言ったらなかなか綺麗である。 

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なかなか綺麗。目立ったゴミはあまりなさそう。

それもそのはず。このビーチは近くのサーフショップが定期的にビーチクリーンを行っており、綺麗に保たれているのだ。


「日本の他のビーチも同様か?」というとそうでもない。
もちろん綺麗なビーチもたくさんあるが、私が数週間前に行った河口近くのビーチには、多くのゴミが溜まっていた。

「もっと汚いビーチで開催すれば良いのでは?」という疑問も湧くが、そういう事でもないらしい。主催者は、もう1つの目的があると言う。

話を聞くと、「未来を創る子供たちに参加してほしい」と近所の小中学校に「お知らせ」を配布したという。このビーチクリーンは、ただ海を綺麗にするだけでなく、ゴミの影響や自分たちができる事を知ってもらう教育の場でもあるのだ。

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家族連れの姿が多くみられた。

確かに... 。たくさんの家族連れや子供がいるな、とは思っていたが、そういう事だったのか。

今回のビーチクリーンには約400人が参加したそうだが、そのうち中学生以下の子供が3分の1を超える150人だったそう。

 

そうこうしているうちに、ビーチはどんどん綺麗になっていった。グループの後ろの方にいた事もあり、目立つゴミは前のグループが拾ってくれたようで、私が拾ったのはこれだけだった。プラスチックの破片や、劣化して小さくなったもの。5mm以下のものはマイクロプラスチックと呼ばれる。

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小さくて、一見害はなさそうだが...。

「こんな破片、放っといてもいいでしょ?」 と思いがちだが、それは大きな間違いらしい。なぜなら、これらマイクロプラスチックやその付着成分を海洋生物が誤飲し蓄積して死に至ってしまったりもするのだ。しかも、食物連鎖でそれらを食べた生態系(私たち人間も含む)への影響が懸念されているそうだ。

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これらのゴミは、最後に環境団体JEANが内容調査をした。

さて、30分から1時間ほどすると、ごみ拾いを終えた参加者が、続々とサーフショップ前にある分別ステーションに集まってきた。ここでスタッフのアドバイスを受けながら分別をして終了。 終了後は環境ワークショップやオーガニックマーケットも開催されていた。

私が拾ったゴミは少なかったが、全体ではこれだけ落ちていたようだ。

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細かいものからタイヤまで...

ちなみに、この「海洋プラスチックごみ」問題。海に行かない人は関係ないと思ってない?

「それは違います」

今回のビーチクリーンに協力している環境保護団体JEANの小島さんは話す。

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環境保護団体JEAN理事の小島さん

「海岸でのごみはもちろん。内陸のゴミが雨で流れて、川から海へと流出するんです」

なるほど。でも、街でもポイ捨てをしなければ大丈夫ですよね...?

そういう訳でもないんです。例えば、街中の自販機の横にあるペットボトルや缶のリサイクルボックスやごみ箱が満杯で溢れている事ってありますよね?そこで溢れたものってどうなります?雨が降って流れてしまいますよね。他にも、庭に人工芝を敷いていたり...これも劣化してプラスチックの芝がこれまた雨などで流れて行きますよね。これが海に流出してしまうのです」

そうか... ポイ捨てしないからといって完全無罪な訳ではないのか...。
私はポイ捨てはしないが、屋外で飲食をしていて袋が一瞬で遠くまで風で飛ばされていってしまった経験はある...。あのゴミはどこへ...?と考えると、当事者問題だ。

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海中に浮かぶレジ袋の中を泳ぐカメ イメージ写真
cegli via Getty Images

海や川に行かなくても、自分が問題に加担しているかもしれない「海洋プラスチックごみ」。でも逆に、わざわざビーチにごみ拾いに行かなくても、私たちが街中からできる事もたくさんあるようだ。

もし今度、「打ち上げられたクジラの死骸から大量のプラスチックが発見された...」というようなニュースを耳にしたら...。他人事だと思わず、コンビニで毎日のように受け取るレジ袋を見直してみるのはいかがだろうか。

 

◇◇◇

ハフポスト日本版で働く私は、5月30日(ごみゼロの日)に向けて、ゴミ削減生活を始めました。様々なチャレンジや失敗を皆さんと共有していきます。皆さんも是非この機会に「ごみゼロ」への旅をご一緒しませんか?

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