小保方さんやSTAP細胞の報道で、隠れてしまったニュースたち

理研の小保方晴子さんらが発表したSTAP細胞論文をめぐる一連の報道に世間が大騒ぎする一方、トップニュース扱いとはならなかったニュースも存在する。STAP細胞のニュースがテレビで大きく扱われた日に、他にはどのようなニュースがあったのか、これまでの流れを振り返る。
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理研の小保方晴子さんらが発表したSTAP細胞論文をめぐるニュースが連日大きく報じられる一方で、トップでは報じられなかったニュースも存在する。STAP細胞のニュースがテレビで大きく扱われた日、他にはどのようなニュースが報じれていたのか、これまでの報道を振り返る。(※文中の視聴率はビデオリサーチ調べ・関東地区のデータ)

■「小保方さんらがSTAP細胞論文発表」VS「日経平均株価、大幅下落」

1月29日、理研がSTAP細胞発見を発見したしたニュースが解禁された。28日に行われた研究室公開の様子も報道され、割烹着を着た小保方晴子さんが話題をさらった。

この発表が含まれる1月27日から2月2日の週、報道ジャンルで視聴率1位となったのは1月30日に放送された「NHKニュース7」で17.0%だった。番組でトップニュースとして取り上げられたのはSTAP細胞に関する内容で、論文の内容や小保方さんについて詳しく報じられた。

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かっぽう着姿で報道陣に研究施設を公開する小保方晴子ユニットリーダー=2014年1月28日

同番組中、このニュースの次に伝えられたのは株価が大幅下落するというニュースだった。この日、日経平均株価は一時500円以上も値下がりし、年初来安値の1万4853円83銭を記録。終値こそ1万5000円を越えたものの、この日以降、株価は大きく上昇には転じておらず、4月16日の終値も1万4417円68銭と、まだ値は戻っていない状態だ。

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Tokyo's Nikkei Stock Average, Japan, 30 January 2014 EPA/KIMIMASA MAYAMA

■「論文撤回の議論」VS「震災関連報道」

STAP細胞論文に多くの疑問が寄せられていた3月10日、論文の共同執筆者の一人である山梨大の若山照彦教授が、「研究の根幹が揺らいだ」として論文の撤回を呼びかけた。翌11日に記者会見を開いた理研も、論文の撤回を示唆している。

11日は東日本大震災から丸3年を迎えた日であったが、「報道ステーション(テレビ朝日系)」は理研の記者会見に関するニュースをトップニュースとして冒頭で放送。3月10日〜3月16日の間の報道ジャンルで、民間放送局としては視聴率1位(15.5%)を記録した。

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STAP細胞の論文問題で、取材に応じる共同研究者の若山照彦山梨大教授=2014年3月10日

続いて放送されたのは、「わが子が甲状腺がんに…原発事故との関係は」という、震災と原発事故をテーマにしたもの。子供の甲状腺がんが見つかった母親に迫った内容だった。

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(画像はイメージ)福島原発/原子力をたたえる看板=2014年2月25日

■「理研報告書『不正があった』」VS「集団的自衛権」

論文の不正についての調査を行っていた理研は、4月1日に調査委員会による最終報告書を公表した。小保方さんが単独で「STAP細胞論文を捏造・改ざんした」とする内容であったため、その日のうちに小保方さんが反論コメントを発表している。

この会見を含む3月31日〜4月6日の週は、新年度が始まったり、消費税率が8%に引き上げられるなど、話題が盛りだくさんの週であった。しかし、「サンデーモーニング(TBS系)」のその週の主だったニュースを3つほど紹介するコーナーでは、理研の最終報告書が4月6日の最初のニュースに選ばれた。視聴率は16.1%をマーク。期間中、教育・教養・実用ジャンルで1位を記録している。

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理化学研究所の記者会見=2014年4月1日

2つ目のニュースとして報道されたのは、集団的自衛権に関する内容だった。3月31日、自民党内の安倍総裁直轄の機関では、党内の意見を集約するための議論が開始された。高村正彦副総裁は、集団的自衛権は憲法に記載された必要最小限の自衛権に含まれるとの「限定容認論」を展開。出席者から賛意が相次いでおり、4月3日には自民党と公明党の間で協議がなされたことが伝えられた。

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自民党の安全保障法制整備推進本部=2014年3月31日

■「小保方さん『STAP細胞はあります』会見」VS「TPP報道」

4月9日、いよいよ小保方さんが記者会見。ミスについては謝罪を行ったが、論文の撤回は否定。STAP細胞の存在についても「あります」と明言した。

午後2時から行われた会見は、NHKのほか、日本テレビ、フジテレビ、テレビ朝日でも放送。MSN産経ニュースによると、「情報ライブ ミヤネ屋(日本テレビ系)」は他局の中継がほぼ終了した時間帯であったにもかかわらず12.3%を記録し、NHKの9.5%よりも数字を伸ばしたという。

夜のニュース「NHKニュース7」でも、小保方さんの会見のニュースから番組が始まった。記者による解説も交え、約12分ほど同テーマの内容が放送されている。

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記者会見する小保方晴子さん=2014年4月9日

続いて報じられたのは、TPPを巡る甘利経済再生相とアメリカのフロマン通商代表との閣僚級協議の話題。牛肉などの関税に関する議論が、朝9時から10時間以上経過してもまだ続いている状態であったが、番組では約2分間報じられただけだった。

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TPP/TPPの日米2国間協議に向かう両閣僚=2014年04月10日

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