STAP細胞の論文をめぐる問題で、理化学研究所(理研)の小保方晴子さんが4月9日に記者会見を行った。アメリカなどの海外メディアも、目を潤ませる一方で研究不正には当たらないとの主張を繰り返すなどした小保方さんの会見の様子を報じた。
小保方さんの会見は、今回の騒動の発端となったSTAP論文を掲載した科学誌「ネイチャー」も取り上げた。
小保方さんは2つの理由のため記者会見を開いた。間違いに対する謝罪と、自身の研究はまだ有効であり、論文の不正確な部分は悪意によるものではないと主張するためだ。昨日(8日)には、理研の調査委員会が不正認定を撤回することを求める「不服申し立て」をした。小保方さんは「STAP細胞は存在する」と強調した。
(Nature News Blog「Acid-bath stem cell scientist apologizes and appeals」より 2014/04/09 18:55 BST)
ただ、今回の会見についての海外各紙の記事には、論評を挟まず会見の様子を伝えるものが多かった。理研の調査結果など今後の経緯を見守る姿勢のようだ。
小保方さんの会見について報じるロサンゼルス・タイムズ紙(電子版)
ロサンゼルス・タイムズ紙(電子版)は、小保方さんの会見について9日、「小保方晴子は『(STAP細胞を)200回以上作った』と語った」との見出しで報じた。「声明を読み上げた後、2時間にわたって記者の質問に答えた」「『だまそうという意図はなかった』として、論文を書く上での自分の『「不注意、不勉強、未熟さ』(carelessness, ignorance and immaturity)を謝罪した」などと会見の様子を詳しく伝えた。
ウォールストリート・ ジャーナル紙(電子版)は9日、ライブブログを使って会見を随時更新して伝えた。さらに14日には「小保方はSTAP論争で決して譲ろうとしない」との見出しを取り、小保方さんが、9日の記者会見の補足説明資料を弁護士事務所を通じて配布したとの続報も載せている。
また、韓国の中央日報・日本語版(電子版)は10日、「シンデレラからみにくいアヒルに転落した日本の理化学研究所の小保方晴子研究員が涙の反撃に出た」と辛辣な表現で報じた。
自身が所属する理化学研究所の調査委員会が「研究チームのリーダーだった小保方氏が単独で画像データを操作してねつ造する研究の不正を行った」として、自身が不正研究者であるとの烙印を押したことに反旗を翻したのだ。
(中央日報「万能細胞200回成功」日本の小保方氏、涙の反撃」より 2014/04/10 08:53)
一方、小保方さんが留学したアメリカ・ハーバード大学のあるボストンの地元紙ボストン・グローブは、4月2日付で、アメリカの幹細胞の研究者らが「不正の見つかったこの論文は撤回せざるを得ない」と述べていることを報じた。小保方さんはハーバード大のチャールズ・バカンティ教授のもとでSTAP細胞論文を手がけた。
マサチューセッツ工科大学(MIT)ホワイトヘッド研究所の幹細胞の科学者ルドルフ・イェーニッシュ教授は、論文が1月に発表された直後、難病治療に役立つ潜在性があるなどとして興奮を隠さなかった。しかし、発表後すぐに、科学者の間でこの論文に対する疑いが浮上したという。
イェーニッシュ教授の研究室の研究者らは、すぐに同じ方法で幹細胞を作製しようとしたが、彼らは幹細胞を得ることができなかった。さらに最近、この論文に問題が生じた後、論文の主要共著者の1人で、論文の撤回に終始反対しているハーバード大学のバカンティ教授らがインターネットに掲載した方法も試してみた。しかし、やはり幹細胞は得られなかったと、イェーニッシュ教授は語った。
(The Boston Globe「Fraud alleged in findings on stem cells - Health & wellness」より 2014/4/02)
STAP細胞の論文をめぐる問題について、日本国内だけではなく、世界中の科学関係者が大きな関心を抱いていることは間違いなさそうだ。
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