アメリカのオバマ大統領は3月12日、ウクライナ暫定政権のヤツェニュク首相とホワイトハウスで会談し、3月16日にクリミア自治共和国で予定されているロシアへの編入の賛否を問う住民投票を「完全に拒否する」と述べた。さらに、クリミアをロシアが併合する動きに出た場合、制裁を強める考えを強調した。MSN産経ニュースなどが報じた。
オバマ氏は、ロシアがウクライナに「銃を突きつけている」状況では、ウクライナは自らの将来を決めることはできないと主張。ロシアによるクリミア半島への部隊の展開は、国際法違反だと改めて指摘し、ロシアの強い影響下で行われる住民投票を批判した。ロシアがウクライナへの介入姿勢を改めなければ、米国や欧州連合(EU)などの国際社会は「ロシアに代償を払わせる」とも述べた。
ヤツェニュク氏は(略)ロシアに対しては「軍を撤収させ、銃や戦車のない状態で、暫定政権との対話を開始する」ことを求めた。ヤツェニュク氏はさらに、10日以内にEUとの統合に関する文書に署名すると表明し、「ウクライナは現在も将来も西側の一員だ」と強調。経済的、歴史的なつながりが深いロシアの重要性も踏まえ、「ロシアはウクライナがEUの一部であり、ロシアの良き友人でもあることを認識すべきだ」と話した。
(MSN産経ニュース「米大統領、クリミア住民投票「決して認めない」 暫定政権首相と会談」より 2014/03/13 10:09)
一方、日本を含む先進7カ国(G7)首脳は12日、ロシアによるクリミア自治共和国を併合しようとする動きは明白な国際法違反に当たるとしたうえで、万が一、併合すれば「更なる行動を取る」などとする声明を発表した。
G7首脳は、ロシアがウクライナの統一性や主権を損なう措置を講じれば、「われわれはさらなる行動を取る」と述べ、制裁発動を含む対抗措置を警告。武力によるなし崩し的なクリミア併合をにらむロシアに対し、日本もG7の一員として強い姿勢で臨む方針を鮮明にした。
(略)G7のうち英仏独伊の4カ国が加盟する欧州連合(EU)は、ロシアに対して段階的に制裁を発動する方針を決定済み。オバマ米大統領も対ロシア制裁の発動を指示している。こうした中で日本も、G7の枠内で対ロ包囲網に加わった形だ。(時事ドットコム「クリミア住民投票認めず=ロシア部隊撤収要求-G7、制裁を警告」より 2014/03/13 00:27)
■谷内局長がロシア外相と会談
政府は谷内正太郎国家安全保障局長をロシアに派遣した。NHKによると、12日にラブロフ外相と会談し、ロシアはウクライナの暫定政権と直接対話をすべきであること、事態を平和的に収拾するのが重要であることなど日本政府の立場を伝えた。ロシア政府は暫定政権の正統性を認めないとの立場をとっているが、ラブロフ外相は会談のなかでもこれまでの主張を繰り返した。立場の違いは埋まらないままだ。
情勢が緊迫する中、アメリカのケリー国務長官とロシアのラブロフ外相との会談が住民投票直前の14日にロンドンで予定されており、注目されている。
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