12月19日に発売された雑誌「ピープル」のインタビューで、バラク・オバマ大統領とミシェル夫人が、人種差別に関する自分たちの体験を明かしている。
「私たちがホワイトハウスに住んでいるのはこの6年間だけだということが、忘れられているのではないでしょうか」と、ミシェル夫人はインタビューのなかで語っている。「それ以前のバラク・オバマは、シカゴのサウスサイドで暮らすひとりの黒人であり、他の黒人たちと同じようにタクシーを拾うのにも苦労したのです」。
オバマ大統領はこのインタビューのなかで、黒人はごくあたりまえに、人種差別がどのようなものかを知っていると語っている。「私と同世代で、知的職業についている黒人男性であれば、レストランから出て迎えの車を待っているときに、誰か知らない人に(駐車係だと思われて)車の鍵を預けられた経験がない人はいないでしょう」
さらにミシェル夫人は、礼装でのディナーに夫婦で出席した際に、オバマ氏が「コーヒーを持ってきてくれ」と頼まれたエピソードを明かした。
2008年11月のウォール・ストリート・ジャーナル紙の記事でも、スーザン・デイビス下院議員(民主党)が、オバマ氏も出席していた2003年のパーティーでのエピソードについて述べている。デイビス議員は、前述とは別の出席者から、「オバマ氏に、飲みものを持ってくるように頼んでしまった」と聞かされたという。
アメリカでは、ミズーリ州ファーガソンのマイケル・ブラウンさん、ニューヨークのエリック・ガーナーさん、オハイオ州クリーブランドのタミル・ライスさんなどの相次ぐ死亡事件をきっかけに、人種問題をめぐる議論に火が付いている。最近ではオバマ大統領も、人種問題についてたびたびコメントを出し、「この国に住む誰かが、法のもとで平等に扱われない事例」に対する懸念を強調している。
ガーナーさんを窒息死させたニューヨーク市警察の警官に、大陪審が不起訴の判断を下したあと、オバマ大統領は次のように語っている。「これは、私たちアメリカ国民全員に課せられた義務です……これは、黒人だけの問題ではなく、アメリカの抱える問題であると認識しなければいけません。この国に住む誰かが、法のもとで平等に扱われないということは、アメリカの問題なのです」
オバマ大統領はピープル誌に、警察による人種差別という深刻な事態に比べれば、自分の体験は「取るに足らない小さなことだ」と述べている。
「私たちが経験している小さないらだちや侮辱は、前の世代の人たちがくぐり抜けてきたことに比べれば、取るに足らないことです」と、オバマ大統領は言う。「仮に私に息子がいたとして、彼がいかにもティーンエイジャーらしい服装でたまたま近くを歩いていたというだけで、強盗とまちがえられて手錠をかけられたり、下手をしたらもっとひどい目にあったりする。そうした問題は、自分が社交の場でウェイターにまちがわれるのとは、まったく別の話です」
この記事はハフポストUS版に掲載されたものを翻訳しました。
[日本語版:梅田智世/ガリレオ]
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