「ヌルプム体操」とは? 韓国・朴槿恵大統領の知人、文化事業で利権あさりか

韓国の「国民体操」が韓国メディアを賑わせている。
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Cha Eun Taek of Choi Soon Sil confident, stand pose after arrives entry gate at international airport in Incheon, South Korea, on November 8, 2016. The Ministry of Culture, Sports and Tourism admitted that it granted favors to Cha Eun-taek, a TV commercials director and confidant of Choi Soon-sil, in funding and supporting Chas musical One Day, which President Park Geun-hye attended in 2014 and gave a rave review. (Photo by Seung-il Ryu/NurPhoto via Getty Images)
NurPhoto via Getty Images

韓国の朴槿恵大統領の知人女性が、国政や外交に介入したり、財団を私物化して不正を働こうとしたりした疑惑に絡み、韓国の「国民体操」が韓国メディアを賑わせている。

2年前、莫大な振興予算が投じられたのに、まったく定着していない「ヌルプム体操」が、朴大統領の知人女性・崔順実(チェ・スンシル)氏や側近の利権あさりの対象になっていたのではないかという疑惑だ。

韓国検察の特別捜査本部は11月11日、崔順実氏の側近の映像プロデューサー、チャ・ウンテク氏(46)を職権乱用・権利行使妨害や横領、斡旋収賄などの容疑で逮捕した。聯合ニュースによると、先に逮捕された青瓦台(大統領府)の首席秘書官と共謀し、大手携帯電話会社の知人を通じて、自分の会社の作品が同社の広告に採用されるよう不正を働いた疑いなどが持たれている。

(大物プロデューサーとしてテレビに登場していた頃のチャ氏)

チャ・ウンテク氏は有名な映像プロデューサーで、2014年8月に大統領の諮問機関「文化融成委員会」の委員にも選ばれるなど「文化界の皇太子」と呼ばれる。「崔順実ゲート」に絡んで捜査が進む文化振興の「財団法人ミル」にも、チャ氏の知人が理事や職員に多数入っていたことが報じられている。

韓国メディアでは、チャ氏の逮捕後の写真が公開された。そのあまりの変わりように、ネットユーザーは驚いている。

毎日毎日、サプライズだ。

検察が解明したのは、チャ・ウンテクがハゲだったということだけ…

朝鮮日報は検察関係者の話として「拘置所内ではカツラを使用できないという規則だ」との言葉を紹介した。

■「ヌルプム体操」とは?

その中で注目されているのが、韓国政府が国民の健康増進施策として考案した「国民体操」が突然、チャ氏が関与する別の体操に事実上差し替えられたのではないかという疑惑だ。

「国民体操」を巡っては、韓国スポーツ開発院が2年あまりの月日と2億ウォン以上の予算をかけて「コリア体操」をほぼ完成させていたが、公表直前にストップがかかり、2014年11月、「ヌルプム体操」が事実上の国民体操として発表されたと、「TV朝鮮」が伝えた。

2014年11月26日のお披露目には朴槿恵大統領も登場し、一緒に試演してPRした。2015年度に政府予算3億5000万ウォン(約3200万円)をかけて広報されたが、普及したとは言いがたく、TV朝鮮は「知っている人も、やっている人もほとんど見つからない」「数億ウォンの血税が水の泡と消えた」と批判した。

この「ヌルプム体操」の影に、チャ氏がいた。(「ヌルプム」とは、これから発展する可能性のある品格という意味)

ヌルプム体操は「ミス・コリア」出身の有名スポーツトレーナー、チョン・アルム氏が考案したとの触れ込みだったが、チョン氏はYTNのインタビューで、チャ氏から「『体操をつくるのだが、既存のやり方から脱皮した、大衆的なコンテンツをつくってほしい』と間接的に頼まれ、2~3カ月で作った」と証言した。

当時、304人が死亡・行方不明になった大型旅客船セウォル号沈没事故の直後で、社会が沈滞していた時期で「人々をチアーアップ(明るく盛り上げ)するものを」と依頼されたといい「私はただの納品者。いちばん末端」と、自身の積極的な関与を否定した。